農林水産業
縦ログ構法に関する技術開発と縦ログ生産ネットワーク体制の構築
事業計画
福島県内外の林業の復興・再生に貢献するため、木材をふんだんに使用した木造建築物の新しい構法であるパネルログ構法を研究開発しています。具体的には、地震と火事に強い仕様を多種開発し、お客様の多様なニーズに応じるパネルログを工場生産します。また、加工機械も新たに開発し、効率的で高品質な生産ラインの確立を目指しています。林業者はじめ関連会社をつなぐネットワークの構築も行っています。
実施期間
2016-2018
実用化開発場所
田村市
連携自治体
-
現状・背景
国内の原木価値が下がり、林業の衰退・山の荒廃が進んで久しい今日、我が国の大切な再生可能資源の一つである森林資源の活用が停滞しています。林業から見れば川下である木材加工業・建設業の視点から、原木の価値を高め、森林資源(国産木材)を積極的に活用する木造建築物の新構法を開発し、川上の林業へ還元することを目標としています。
研究(実用化)開発の目標
「パネルログ」の生産工場を福島県内に新設予定であり、初年度は3名程度を雇用、年間戸建て30棟分(200パネル/ヶ月)程度の床・壁・天井パネル(土台、柱、桁含む)を生産します。売上としては12,000万円/年を目標としています。また、パネルログ加工機械を全国約10ヵ所に販売し、生産工場と構法の普及を目標とします。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
「パネルログ」を工場で機械ライン生産することを確立します。それにより一日の生産量が飛躍的に高まります。また「パネルログ構法」によって現場での組み立て工事・内装工事が短縮され、全体的な工期が短くなります。よって、木材をふんだんに使用した木造建築物(木材使用量が従来の3~4倍)ですが、当社で比較しても他の構法・商品と同等もしくは同等以下の価格帯で提供することが可能となり、競争力の高い製品となります。さらに上記より、原木を高く買っても採算が合うコスト計算を行っているため、林業の再興を図ることが可能です。その他、ライン生産機械は比較的低投資で済む内容なので、地方工務店でも設備を導入することが可能です。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
木材をふんだんに使用した木造建築物を比較的リーズナブルな価格で提供が可能となるため、地元木材加工業、建設業などの活性化による雇用の創出が可能です。また、浜通り地域の木材消費の拡大を図り、かつて先祖が森に植えた木(スギ等)一本の現在価格が約1,000円以下であるが、本事業の成果によって一本の価格を4倍程度の約4,000円で買い取ることができるようになります(川下産業から川上産業への還元)。よって、停滞・衰退している林業を活性化することが可能です。
これまでに得られた成果
■多様な用途・地域で活用できる
〇パネルログ構法:
耐力壁大臣認定5種
60分準耐火大臣認定 耐力・外内壁27種、非耐力・外内壁27種
45分準耐火大臣認定 耐力・外内壁1種、非耐力・外内壁1種
30分防火大臣認定 耐力・外内壁5種、非耐力・外内壁5種
■生産効率、品質の向上とライン生産を確立する
・加工機械:
試作機(ビス打ち機 2台、パネルソー 2台)
パネルログ生産加工機械ライン 1台
■独自性の確立
特許取得済み:パネルログ構法の一部、ビス打ち機、パネルソー
特許申請中:パネルログ構法
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
福島県浜通り地域をはじめ、我が国が保有する再生可能で豊富な資源である森林資源(木材)を有効に循環させることを第一に考えて、新しい木造建築「パネルログ構法」を開発しています。木を育てる人々、乾燥・製材、パネルログ生産、設計、建設が連携できる取り組みですので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください!
また、国産材でつくったパネルログやパネルログ構法そのもの、または開発したパネルログ加工機械群を近隣諸国に輸出する産業としての取り組みも、現在検討しています。