農林水産業
中大規模木造建築物に対応した新たな接合方式の開発
事業計画
中大規模木造建築物の柱-梁接合部、梁-梁接合部に対応した新規接合金物の開発。具体的には、新規金物接合部として想定する接合部せん断耐力の性能試験、火災時の耐火性能試験、中大規模木造建築物に使用される大断面木材用に対応した接合部せん断耐力性能試験、又、今後CLTパネル構法建物の増加を見込んで引張り接合部の新規金物の開発を行います。
実施期間
2017-2018
実用化開発場所
いわき市
連携自治体
-
現状・背景
建設現場での労務不足が深刻化しておりその対応策として高い技能を必要としない工法の採用があります。これにより、異業種からの人材確保など広く人材を確保することが可能になります。また、現場作業工程の簡略化により労務量自体を大幅に削減することで問題解決にも貢献します。また、同時に工期短縮と、規格部材の使用により廃棄物が削減し低コスト低環境負荷が実現できます。
研究(実用化)開発の目標
本プロジェクトの接合方法を木造建築業界へ普及させ、国内における中大規模木造建築の加工・施工の労務費の削減や美観上の優先性を取得していきます。
販売は金物とビスのセットでの販売を考え、各木材プレカット業者でも容易に手に入れられるようにします。目標は、中大規模木造建築にかかわる大半にシェアしていければと考えています。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
開発中の接合金物の特徴は柱と梁の接合をひっかけるだけのワンタッチで完了する点にあります。従来の接合金物は接合の仕上げとして複数のドリフトピンを打ち込む必要があり、建築規模が大きくなり接合部が増加するにともなって現場作業量も増大します。同時に部材側面にはピンや金物が露出し美観上の課題となっていました。しかし、新規開発の接合金物は接合面のみの露出にとどまり工夫によって全て隠蔽することが可能となります。この特徴により労務量の削減に加えて美観上の優位性を獲得することが可能となります。又、ワンタッチでひっかける構造によって取り外しもワンタッチとなります。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
地域の山林で育った地域材の需要を生み、林業や木材加工・流通・設計業務など地域経済の発展サイクルの一助となることが期待できます。
これまでに得られた成果
新規接合金物
Mタイプはせん断耐力が25KN、Lタイプは30KNと明確な耐力証明がされました。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
農林水産業における林業については、戦後植林し育った木の需要が少ないことで手入れが行き届かずに、木材の品質を高められないという負の連鎖が大きな問題となっています。
地域環境に対しては、すでに炭素を固定した老木を伐採し若木を植林することで、さらなる炭素固定の推進が望まれています。地域木材、特に伐採期を迎えた大丸太の継続的な需要によって地元林業の活性化の推進とともに、地球温暖化への貢献が期待されます。