農林水産業

耐候型屋内農場における大型イチゴ生産の自動化

事業計画

大型イチゴの周年栽培を実現するため、耐候型の低コスト屋内農場システムを設置します。栽培~収穫・出荷までの工程を自動化するだけで無く、G-GAP取得支援メニューを組合せた生産者支援統合サービスを課金式で提供する事業を構築します。

実施期間

2017-2019

実用化開発場所

田村市

連携自治体

-

現状・背景

急速な気候の変動、農業の担い手の急減、イチゴの夏季供給量低下、旧世代植物工場の低収益性が挙げられます。それに加え、G-GAPに代表される第三者認証の登場など農作物の生産や物流に対する要件が厳しさを増していくなか、現状ではG-GAPの認証取得済み生産者は日本全国でも約400にとどまるなど、国産食料の安定供給が危惧されています。

研究(実用化)開発の目標

耐候型の屋内農場のプロト構築、自動栽培サービスのプロト構築、自動収穫のプロト構築、G-GAP取得支援のプロト構築、上記4つのプロト構築を通じ、汎用的な生産者支援統合サービスの開発につなげます。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

PUTFARMはビニールハウスと同様のシンプルな構造体と温度・湿度管理技術の組み合わせにより、設置費用の低減と高い環境制御を実現しています。これにより気候に左右されない栽培環境を簡易的に再現することができ、生産物の収量最大化条件の抽出が効率化されます。 本年度は、安定した栽培環境においてイチゴの生育に伴う養液中の栄養分の消費量をモニタリングし適時適切な追肥実施の仕組みづくりに着手。従来、養液成分の追跡手法は定期的な抜き取り検査により行われており、労力(=コスト)が嵩んでいますが、養液中のカリウムイオン等無機イオン濃度を定期的にモニタリングするシステムを開発し、さらに追肥作業の自動化の実現にむけて実証します。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

幅広い世代に人気の高いイチゴに大型化という付加価値をもたせ、また通年栽培、特に市場から商品が無くなる夏季において安定供給する栽培技術の確立は大きな市場性を秘めています。実証場所である田村市(船引)は消費地である郡山エリアに近接し、また東北新幹線や東北自動車道による首都圏への供給も容易であり、物流面からも販路拡大が期待されます。
大型イチゴは浜通り地域における名産品として、地域ブランディングにも寄与すると共に雇用拡大、農地の有効活用にも繋がるなど経済波及効果は大きいと考えます。

これまでに得られた成果

寒冷地における屋内農場として低コスト、短工期、耐候性を実証中。今年度の主要実証テーマとして栽培面では栽培装置の改善設計と製作を実施。イチゴの栽培を開始し、必要な養液量や濃度について検証を重ねており、旧来の栽培装置よりも収量増加が期待される手応えを得ています。養液分析用の電極開発を進め、カリウムイオン、硝酸イオンの試作機を製作。次年度では栽培装置に組み込み、養液配合と適時適量の運用手法の確立に注力していきます。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

従来の植物工場が採用しているシステムでは、空間環境の調整が困難でした。PUTFARMは温度・湿度をそれぞれ独立して管理でき、また高い遮熱性能から外気の影響を殆ど受けず室内環境を制御することができるため、寒冷地においても旬年栽培で農作物を育てることを可能とします。本事業で環境制御のパッケージ技術が実現できれば、育苗、花卉、養鶏、陸上養殖など植物工場の枠に囚われず幅広い領域への事業展開が可能と考えており、これらを通じて浜通り地域の復興に貢献したいと強く思います。

事業者の連絡先

プランツラボラトリー株式会社