農林水産業

耐候型屋内農場におけるキノコ類菌床栽培の収益改善

事業計画

寒冷地域において耐候型の低コスト屋内農場で最適な環境を再現し、通年で安定的にキノコ類(シイタケ、キクラゲ)の菌床栽培を行います。これにG-GAP取得支援メニューを組合せた生産者支援統合サービスを課金式で提供する事業を構築します。

実施期間

2018-2020

実用化開発場所

川内村

連携自治体

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現状・背景

菌床栽培の担い手の高齢化により生産者戸数は減少傾向にあります。原木栽培に比べ栽培が容易であるとされる菌床栽培が発達してきたものの、栽培条件などは未だ確立されておらず、属人的な栽培技術・経験に依存した状況が続いています。生産者の約80%が小規模農家が占めており大きな設備投資は実施しづらいため工業化が遅れ、結果として年間を通じた安定供給に課題を残しています。

研究(実用化)開発の目標

耐候型PUTFARM建設サービスのプロト構築、自動生産最適化サービスのプロト構築、G-GAP取得支援のプロト構築、上記3つのプロト構築を通じ、汎用的な生産者支援統合サービスの開発につなげます。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

キノコ類は高温・多湿の環境下での生育を好み、栽培においては、各生育のフェーズごとに最適とされる光、温度、湿度が異なります。ただし、従来の建物設備では環境制御が不十分となり生産者の経験や勘に頼らざるを得ず、これは収量の不安定化に繋がるだけでなく新規就農者へのハードルともなっています。
屋内農場システム「PUTFARM」では、従来の生産設備では難しかった温度・湿度を効率的に管理することで栽培環境の再現性を高め、それに最適化された栽培手法の確立を可能にします。
これにより場所、経験に依存しないキノコ類の生産が可能となります。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

シイタケは工業化推進による収量拡大、キクラゲは現状流通していない国産ブランドを打ち出し販路を開拓します。
本事業では栽培環境の均一化を実現するインフラと、自動栽培最適化サービスを連動させているため、専門的なキノコ栽培経験がない方でも比較的スムーズに参入できるようパッケージ化を前提に設計しており、収益性改善という明確な目的を持った生産者支援統合サービスを構築します。これにより浜通り及び県内他地域、その他都道府県を含めたキノコ類生産を行う生産者への波及効果は大きいと考えます。

これまでに得られた成果

キノコ類栽培の特徴として、散水を頻繁に行うため栽培室は常時水に濡れた状態となります。菌床を配置する栽培ラックを移動させる頻度も高く、床面についてはコンクリート土間を採用しました。これを前提に栽培室内の環境制御性能を発揮するための設計及び施工方法の検証を行っています。栽培面では宇都宮大学との共同研究契約を締結し、生産者単独では実施が困難なキノコ類の成分分析や内部環境条件と合わせた品質評価、連続栽培性等を評価して栽培最適条件の抽出に着手しています。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

キノコ類の栽培環境整備には多額の設備投資が必要であり、小規模事業者が生産の中心を担っているシイタケは工業化の遅れが見られ、高温帯が必要なキクラゲは国内の栽培は殆ど行われていません。本事業を通じて寒冷地における栽培環境を安定再現できる仕組みを確立するとともに、菌床の原材料(広葉樹のオガ)を川内村をはじめとした浜通り地域から調達することで、浜通り由来のキノコ類の商品開発を目指しています。また浜通り地域には果樹類の名産品も多く、これらを活用した商品開発の検討のため、地域の生産者との連携を強化していきたいと考えています。

事業者の連絡先

プランツラボラトリー株式会社 / JPE第1号株式会社