エネルギー・環境・リサイクル

副生成物の回収・再資源化による環境配慮型の合成樹脂製造プロセスの開発

事業計画

低環境負荷・高リサイクル性の合成樹脂製造プロセスの開発

合成樹脂の既存の製造プロセスにおいて、原料の一部や反応副生成物を効果的に再利用できず一定量の原料ロスや廃棄物が発生しますが、それを効率的に回収、リサイクルすることにより、環境負荷を低減しかつリサイクル性の高い製造プロセスを実現できる技術を獲得します。

実施期間

2019年度~2021年度

実用化開発場所

いわき市

連携自治体

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現状・背景

合成樹脂の既存の製造プロセスにおいて、原料の一部や副生成物を効果的に再利用できず一定量の原料ロスや廃棄物が発生します。さらなる事業拡大を見据えて、より環境に配慮した製造プロセスの構築および低コスト化が望まれます。

研究(実用化)開発の目標

合成樹脂の製造プラントのロス原料の回収・リサイクルおよび廃棄物の再資源化・製品化技術により、環境負荷の低減、省エネルギー、低コスト化が実現できます。 また、低コスト化による普及拡大により、その使用領域である自動車等の輸送機器の軽量化による省エネルギーにも貢献することが期待されます。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

自動車等の輸送機器の軽量化による省エネルギー(燃費向上効果)のために、年々、金属材料の合成樹脂への代替が進んでおり、その価格、成形性や機械物性等の改良に伴い、今後もその代替比率が高くなると見られています。本合成樹脂は、堅調な需要増加が見込まれており弊社の基盤事業の一つであり、世界的な需要増加に合わせて生産量の増強を図り事業を拡大してきました。事業化にあたり製造プロセスを自社開発し、その後も継続して品質向上、製造コスト低減を図り競合他社に劣らない技術力を有しています。本合成樹脂の原料は石油資源由来であり、また製造の過程においても多くのエネルギーを消費するため、総合的な環境負荷低減、省エネルギーの観点 からは、その使用領域だけではなく、製造においても環境負荷を低減しかつリサイクル性を高めることが求められます。より具体的には、合成樹脂の製造プロセスは、合成反応、分離、精製、原料・副資材回収など、さまざまな工程により構成されますが、各工程で一定量の原料ロスあるいは製品とならない反応副生成物の発生を伴い、投入エネルギーを有効に使い切れていないばかりか、目的としない反応副生成物の無害化・廃棄処理にも多くのエネルギーを消費します。以上の観点から、製造の過程でロスする原料を回収、リサイクルし、また副生成物 を価値のある形に変換し再利用するための効果的でかつエネルギー効率の高い手法の開発が求められます。本技術の獲得により、環境負荷低減、省エネルギー、低コスト化を実現し、さらに競争優位性を高め事業を拡大することが期待できます。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

本技術の優位性により製造コストの低減を図り更なる普及を促進し、弊社いわき事業所における製造プラントの増設が期待されます。その場合には、生産活動のために 20 名程度の雇用の拡大が想定されます。また、省エネルギーに貢献する材料の世界的な生産拠点として大きく成長するとともに、波及効果として浜通り地区の経済活性化にも貢献することができます。

これまでに得られた成果

原料ロスの回収を行うにあたり、関連するプロセスの検討を行い最適化に向けた課題を絞り込むことができました。また副生成物の再資源化については、共存不純物の同定・定量を行い、有用成分の分離・精製のための要素技術の開発に移行できました。また廃棄物となり得る副生成物の製品化処理技術を考案し、効果的な手法であることを見出しました。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

各社の新事業創出や既存事業の成長・発展は、浜通 り地区に有形・無形の波及効果をもたらすことが期待されます。弊社としても、浜通り地区から世界に新技術を発信し、その一翼を担うとともに、ともに成長できることを願い技術開発を進めてまいります。

事業者の連絡先

株式会社クレハ

〒 974-8686 福島県いわき市錦町落合 16

TEL : 0246-88-9154(研究所代表)(担当:プロセス開発研究所 星智広)

MAIL : t-hoshi@kureha.co.jp