医療関連
毎日着用可能なウェア型IoT機器およびオンライン診療システムによる健康モニタリングサービスの開発
事業計画
本事業では、「着るだけで」生体情報がとれるシャツを住民に着用してもらい、データの収集および分析を行います。医療機関等とともに分析した結果は、オンラインまたはレポートにて住民一人ひとりにフィードバックし、年齢層を問わず、自身の健康管理への意識付けを行います。住民から毎日確実にデータを取得・蓄積するための仕組み・システム、運用体制を構築し、住民のデジタライゼーションを目指します。
実施期間
2018-2020
実用化開発場所
川俣町
連携自治体
-
現状・背景
シャツによる生体情報取得においては、ひとの肌と電極が一定圧で密着しノイズの発生を最小化する、という課題があります。シール型では肌荒れやかゆみを伴うため、長時間着用し洗濯にも耐えうるシャツ型電極こそが、安定したデータ取得に適していると考えます。川俣町の工場では、サイズ感や電極位置などをきめ細やかにカスタマイズし、課題の解決に努めます。
研究(実用化)開発の目標
製品・サービスの品質をさらに高め、毎日のデータ取得・モニタリング環境を平成32年度中に構築します。最低でも住民の1割の方がシャツを着用し、日々の健康管理を自発的に進めていくモデルは、福島県内はもとより、他の自治体や海外にまで展開していけるものです。実用化に向けて、県内の研究機関との連携や工場の増員など新たな雇用を生み出すものと確信しています。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
住民へ配付する「医療用シャツ型心電用電極」は、すでに医療機器として登録されていますが、様々な体型や年齢の住民が着用しても、データが安定して取得できるための改良が必要です。データ状態や着心地感などを調査し、シャツそのものの品質改良を川俣町の工場にて進めます。また、データの24時間モニタリングは、データを自動で監視するAIプログラムの開発が必須です。取得したデータに何らかの変化を見つけた場合、連携した医療機関等に速やかに通知する仕組みと体制を構築します。データはクラウドに蓄積され、データ解析に広く利用され、様々な分析に結び付けられる研究開発環境を構築します。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
利用者と開発者の両面で浜通り地域への経済効果を見込んでいます。利用者という視点では、川俣町で始まった住民全体の健康管理モデルを近隣地域へ展開することによる自治体としての健康経済効果が見込まれます。また、開発するシステムや24時間モニタリング、医療機関によるオンライン診療などの仕組みは、新たな投資と多くの研究者が必要となります。浜通り地域の復興のシンボルとして、住民の健康指数の向上に注力することで多くの方が集まってくる、そんな町づくりが、地域の復興・発展につながるものと信じています。
これまでに得られた成果
医療機器としてのシャツ型心電用電極の開発、シャツ型電極を利用しての川俣町住民約60名との実運用体系の検証、また一人ひとりへのデータ分析結果のフィードバックなどからレポート内容やヒアリング項目の検証を行いました。これらにより、ほとんどの住民が毎日シャツを着ることでデータ取得と自身の健康管理を継続し、データや活動記録も着実に取得できました。レポート内容の充実やシャツの更なる改良は、ヒアリング結果などから次回の開発・実証に繋げる新たなインプットであり、今後の開発テーマとします。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
一企業だけで実現できる効果は限られていますが、今回川俣町という自治体と共同で進めていくことで、自治体、企業そして住民が一体となった「健康でいきいきとした町づくり」を推進しています。この共同事業では、多くの住民の方々から確実に取得されるデータそのものに大きな価値があり、これらのデータを活用したい研究機関や大学、企業などが多く集まることで、新たな経済価値を生み、結果として住民への還元をもたらす循環モデルとなります。浜通り地域の住民は、みんな健康でいきいきしているという復興のシンボルモデルを構築すべく今後も努力していきます。