ロボット・ドローン
ドローンによる地形・画像計測と放射線量測定による広域空間線量の取得手法の開発
事業計画
ドローンによる地形・画像計測と放射線量測定による広域空間線量の取得手法の開発
ドローンに、①レーザ計測システム、②スペクトルカメラ/赤外線カメラ、③放射線量測定器をそれぞれ搭載し、①地形データと、②植生データから、山林・田畑・市街地の詳細な土地形状と植生状況を把握し、③放射線量測定器では、地上50mの空間線量分布から地表面の線量に換算する手法を開発します。
これらのデータの相関関係を分析し、地形や植生/土地利用に応じた空間放射線量を解析するシステムを開発します。
実施期間
2017-2018
実用化開発場所
富岡町、郡山市
連携自治体
-
現状・背景
福島県浜通りでは居住制限区域等の解除が行われつつあります。しかし、様々な理由で帰町は進んでいません。
本事業では、除染が行われていない森林や山地を含めた全ての地区で放射線の残留状況の把握が可能であり、継続的に調査することにより、山地部を含めた放射線分布の変化を把握することを目的とします。
研究(実用化)開発の目標
平成29年度は、試験計測、計測・解析プログラム開発を行いました。平成30年度は、地形・植生に対応した空間放射線分布解析を主に行う予定です。
平成31年度以降は、本技術を用いて国、福島県または浜通り地域の行政機関等をターゲットとしたドローンによる地形・画像計測と放射線量測定による広域空間線量計測事業を計画しています。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
UAV(ドローン)+レーザ計測システムは新しい技術であり、地形データ(3次元点群)の精度を確保するためには、機器の構成、センサの精度、分解能、レーザ記録方式などについて、実証試験を繰り返しながら検証する必要があります。
次に、レーザ計測システムとスペクトルカメラ/赤外線カメラで得た地形情報と植生/土地利用状況に対し、放射線量測定器で取得したデータを正確に重ねる作業が課題となり、それぞれのデータ形式を整理・変換したうえで、正確な位置情報を与えることが鍵となります。
これら、UAV(ドローン)にレーザ計測システム、スペクトルカメラ、及び放射線量測定器を搭載して測定する技術/製品は一部民間事業中心に開発が進んでいます、用途が限定されたり実用化に向けての精度検証中です。
さらに、それぞれの機器で計測したデータ(三次元点群、スペクトル画像、線量分布)を統合して解析する技術は確立されていないため、本補助事業で確立させる意義があります。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
本事業の成果により、広範囲な放射線量の実態と特徴を視覚的に説得力のある情報として提供できれば、地域住民の安心・安全な生活支援が可能になるとともに、土地の利活用も進み、レジャー施設の入込客の増大、企業誘致へ繋がると考えます。また、開発のプロセスにおける大学との連携、開発成果の学会発表により、会社の知名度を上げ新たな市場、人材確保を行い、これらの結果、浜通りの地域産業振興、経済へ寄与できるようにしたいと考えています。
これまでに得られた成果
①山林・田畑・市街地の詳細な土地形状を把握するレーザ計測システムの試験計測、②植生や土地利用を把握するスペクトルカメラ/赤外線カメラの計測・解析プログラム開発及び③地上50mの空間線量分布を把握し、放射線特性、グラウンドツルスデータから地表面の線量に換算する計測・解析プログラム開発を行いました。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
測量・設計・環境調査・コンサルティング業務で培った「測る技術」にドローン技術を組み合わせることで、地形・植生・空間放射線量データを集積・分析する最新の手法を確立し、地域再生のグランドデザインに反映させることを目指して技術革新に取り組んでいます。
その先に、未来につづく「元気なふるさと」があると信じています。