農林水産業

自然エネルギーを活用した、IoT 営農による産地化促進プログラム「AgriNova」(日本語名「 アグリの場 」)の実用化開発

事業計画

自然エネルギーを活用した、IoT 営農による産地化促進プログラム「AgriNova」(日本語名「 アグリの場 」)の実用化開発

植物の育苗段階において、温室の環境構築時に石化燃料や商用電源を使用せず、太陽光発電の電力と太陽熱や井戸水を活用した温湿度制御の有効性を実証します。
併せて、病虫害防護を目的に新考案の与圧式二重構造育苗施設(既存小型温室を、新開発の畑地非接触敷台に搭載)の実用化を研究します。今年度は、農事用の施設に再生可能エネルギーによる電力の供給と、太陽熱及び井戸水を活用した温湿度制御設備を施し、実用化への段階を踏みます。

実施期間

2017-2019

実用化開発場所

南相馬市

連携自治体

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現状・背景

浜通り地域の営農復興には、未耕作地における離農者の帰農や新規就農促進と同時に、野生動物からの感染症罹患対応等安全性を確保、作物の安全性の証明と安定的な販路確保が喫緊の課題です。大規模耕作以前の、管理型農業である育苗の過程をプログラム化して品質確保とコスト低減を研究開発し、地域復興の促進を図ります。

研究(実用化)開発の目標

「Agrin」は、量販ベースで実用化されれば通常の栽培温室内での育苗環境コントロールが簡便になり、与圧方式による小動物排除や病原菌侵入抑止効果が見込まれます。今後2か年の実用化実証を経て、頒布計画を立案します。育苗施設として1ヶ所あたり3~6名の雇用が期待され、2020年度以降の販売を目指します。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

温暖で一定の環境条件下で良好に生育する作物の幼苗育成の低コスト化と通年事業化を目指します。大温室内に小温室を設置する二重構造の育苗施設「Agrin」を構築し、安定的な育苗環境を低コストで制御し、通年に渡る育苗営農を行います。自然エネルギーによる電力供給と温湿度のコントロールが先進的な開発ポイントです。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

相双地域では実用化システムの月額リース提供、並びに新規作物の試験栽培受託を計画しています。栽培農家の設備負担及び事業リスクの低減と栽培拡大支援が狙いです。
実用化システムは当初10箇所程度中山間地に設置し、新作物試験栽培用途としての普及を目指します。普及プロセスでは新作物探求の需要深耕、受託育苗、実証試験、試験出荷の可能性を探ります。1,000㎡の畑地で㎡あたり100株相当の苗を年3回出荷で試算すると、敷地面積により拠点毎に年間3~4,000万円程度の売り上げを見込めます。

これまでに得られた成果

今年度は、太陽光発電による蓄電及び電力供給、太陽熱温水器による温水約40℃の湯10トンを貯湯、地下水源を使用した年中恒温の約15℃の水10トンを整備、温室内の温湿度コントロールが自然エネルギーで行われる設備としました。熱源、冷熱源は、温室内客土に埋設された配管により制御する計画で実装しました。
二重構造温室は、基礎となる畑地非接触敷台に搭載したガラス小温室と、大温室を整備、それぞれに性能確認をしました。
育苗作物選定、IoT活用の苗ポットの開発要素、温湿度制御ソフトの要求定義などの調査もまとめました。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

浜通り地域の農業復興に願いを込め、新しい仕組みを構築し、これから注力する農業の形を育苗に期待しました。育苗の環境制御を自然エネルギーによりコストを抑え、与圧式二重構造温室を小スケールで計画し、事業規模により低コストで整備することが可能です。地域で連携いただける農事業者に活用いただきたいと思います。

事業者の連絡先

株式会社馬渕工業所、福相建設株式会社