農林水産業
中赤外ハイパースペクトルカメラとドローンを活用した農地の土壌成分分析と農薬散布との連携システムの実用化開発
事業計画
中赤外ハイパースペクトルカメラとドローンを活用した農地の土壌成分分析と農薬散布との連携システムの実用化開発
特殊カメラ(ドローンに搭載)による土壌成分分析の実効性を確保し、生育状況の把握・成長予測や、農薬散布ドローンとのシステム連携を併せ実現することで、営農の低農薬化・省力化の達成を目指しています。
実施期間
2017-2019
実用化開発場所
南相馬市
連携自治体
-
現状・背景
浜通り地域では、少子高齢化や担い手不足が営農再開を進展させるための課題となっています。こうした課題の解決のために、農地の大規模化、作業の効率化・負担軽減を図り、ノウハウを視える化(形式知化)することで、若者の呼び込み・農業への参画促進に繋げることが必要不可欠となっています。
研究(実用化)開発の目標
■中赤外ハイパースペクトルカメラによる土壌成分量の推定が可能な技術の確立
■大型ドローンの開発による効率的な農薬散布手法の確立
■農薬の最適散布量の算出技術の確立
■計測ドローンと散布ドローンを連携させた、場所ごとに適量の農薬や肥料・対応薬剤を撒くシステムの確立
研究(実用化)開発のポイント・先進性
今回の開発は、日本分析学会の2016年先端分析技術賞JAIMA機器開発賞を受賞した中赤外ハイパースペクトルカメラという特殊なカメラをドローンに搭載し、農地の土壌成分のセンシングを行うという世界初の試みです。そのセンシング結果を基に農薬の最適散布量を算出するシステムを構築し、農薬散布ドローンとの連携システムを開発することで、効率的かつ効果的な農薬散布の実現性を検証していきます。
本プロジェクト推進にあたっては、相双地域の復興支援を担う福島相双復興官民合同チームがプロジェクトメンバーのマッチングを始め、幅広くサポートしています。また、来年度からは農業の将来担い手である地元の相馬農業高校の本格参画に向け準備を進めています。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
本カメラとドローンの連携システムを農薬散布ビジネスとして事業化することにより、2022年度に売上高2.2億円を見込んでいます。
これまでに得られた成果
■土壌成分計測データの評価検証(従来法と中赤外ハイパースペクトルカメラの比較)
■ドローンフライトに関するシステム構築
■農薬散布アタッチメントの構築
■中赤外ハイパースペクトルカメラのコンパクト化
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
域内外事業者の連携により新技術導入を目指す今回の実用化開発は、農業の大規模化・効率化が期待できるとともに、地元の相馬農業高校の巻き込みを図ることによる将来人材の育成にも繋がる有意義な取り組みです。また、イノベーション・コースト構想の重点分野である農林水産業における新技術・新産業の創出を実現することで浜通りの復興に繋げていきます。