医療関連

被災地住民の帰還を促進する医療とロボット産業の統合実証事業

事業計画

被災地住民の帰還を促進する医療とロボット産業の統合実証事業

東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故により発出された避難指示が解除され住民の帰還が進んでいます。帰還住民の多くは健康な高齢者であり、医療や介護の環境整備は大きな不安となっています。私たちは「フレイル」に着目し、健康な高齢者が自分の希望する地域でできるだけ長く暮らしていけるよう、摂食嚥下機能の維持、歩行促進(転倒予防)を2本柱として、適切な支援方法を提供できるよう研究しています。

実施期間

2016-2018

実用化開発場所

南相馬市

連携自治体

-

現状・背景

フレイル状態に介入、支援し、健康状態を維持する活動は、行政による介護予防事業等で取り組みが進んでいます。摂食嚥下機能の維持においては嚥下機能を簡易に評価できるデバイス、歩行においては歩行意欲を促進するデバイスの開発を行い、この介護予防事業に参加する高齢者が効果を実感し、参加を促して行きたいです。

研究(実用化)開発の目標

本開発は、厚生労働省が行うデータヘルス改革の科学的介護の実現に寄与し、介護現場の人材不足問題に介護事業所と共に取り組んでいく環境を作ることを直近の目標としています。平成30年度は本開発のデバイスが介護事業所の生産性向上に繋がることを検証します。平成31年度売上目標5,000万円、新規雇用2名を目指します。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

平成27年度厚生労働省「後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究」において、フレイルは「身体的」、「精神・心理的」そして「社会的」要素からなり、健常な状態よりは虚弱化が進行しているが、いわゆる「身体機能障害(disability)」とは異なり、適切な介入によって健常状態に回復することが可能な状態ということができます。今後進行する高齢社会にあって、特に後期高齢者の健康増進と介護予防を推進するにあたり、フレイルの適切な対策が必要不可欠で有り、そのための科学的根拠の構築が必須であると結論づけられています。私たちは科学的根拠として、健康高齢者の普段の「している行動」の記録と定期的な簡易なアセスメントが必要と考えており、本実用化開発において歩行促進デバイスと摂食嚥下機能の評価デバイス及びそれらを記録していく生活記録ソフトウェアを開発しています。これらのデバイスは開発しただけでは利用には結びつかず、実用化に向けては、メーカーと健康高齢者、フレイル予防に関わる多くの専門職とをつなぐフレイル版システムインテグレータの育成も必須です。地域において開発者と住民が一体となって開発する環境を構築し世代間交流しながら人材育成して行きます。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

高齢化問題は浜通り地区だけでなく日本全体の問題です。ロボット技術を用いて、安心で自分らしく生活できる環境を整えることは、人手に頼っている医療介護の働き方を大きく変えるきっかけとなります。本開発と同時にこれらを活用した生活支援ロボットの実証体験環境を創設し、いろいろな生活支援ロボット技術が体験、習得できるよう広く発信集積し、ロボットとの共生社会のモデル地域の一端を担えるよう展開して行きます。

これまでに得られた成果

摂食嚥下測定デバイスでは、超音波診断を用い、舌骨上筋群の大きさ及び舌圧から筋肉量を推測し、のど年齢を推計する方法を検証しています。これにより、VF(嚥下造影検査)、VE(嚥下内視鏡検査)での計測に加え、補助的なデバイスとして非侵襲的で簡易な計測が可能になります。歩行機能促進としては、歩行支援機及び片脚ごとの荷重を計測する靴型体重計を開発しました。これにより自身の状態を把握しながらより長距離での移動が促進されます。これらを継続的に記録していくデバイスの仕様書も制作しました。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

地域包括ケアシステムを支える事業所様、介護事業所様とIoT、ICTを活用した生活支援技術の開発を今後進めていきたいと考えています。また、家庭生活に応用できるセンシング技術、持ち運び可能な超音波診断装置との連携も模索しております。生まれ育った場所で暮らし続けるお手伝いを行っていきます。

事業者の連絡先

株式会社ヘルステクノロジー