農林水産業
IoT技術をベースとしたスマート農業による高機能性野菜生産の実証試験
事業計画
農作物(主に葉物野菜)の機能性成分を高める環境制御システムの研究開発を実施しています。この研究成果を栽培時の環境制御手法に活かすとともに、蓄積した農業気象計測データと組み合わせることによって農作物の収穫予測を行い、これらにもとづく栽培生産情報を生産者と実需者が共有することで、高品質野菜の生産、計画的な出荷販売調整を支援する農業生産販売支援プラットフォームの実用化を行っています。
実施期間
2016-2018
実用化開発場所
いわき市、川内村
連携自治体
-
現状・背景
農業生産現場では品質の高い生産物の安定的な生産と販路開拓、実需者側では必要としている青果物の計画的かつ安定的な調達、生産者と実需者双方のタイムリーな情報連携が求められています。当研究開発では農作物の中身成分を充実させ、より収量を上げるための環境制御手法の開発と栽培生産情報の実需者との共有、連携による課題解決に取り組んでいます。
研究(実用化)開発の目標
2018年度に生産圃場への導入が完了し、農業生産販売支援プラットフォームの実地試験に取り組んでいます。現在、現場からのフィードバックを反映し完成度を高め、グループ生産化を図る計画です。取扱生産量は初年度70t/年を目指し、生産圃場での雇用を含め5名程度の新規採用を行っていきます。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
浜通り地域の恵まれた気象条件などの地域資源を活かしつつ、栽培施設の環境制御による高品質野菜生産の高い生産性と中身成分の充実化、さらに収穫予測分析を中心とした栽培生産情報の共有化による生産者と実需者の連携が可能なクラウド型のプラットフォームを開発しています。
■高品質野菜の収穫量を上げるための環境制御ロジックの実装
■農業気象や環境計測データによる収穫予測分析機能の実装
■クラウドを活用した生産者と実需者の栽培生産情報共有機能の実装
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
浜通り地域で新規農業参入者とともにグループ生産販売を事業化し、5年後の農業生産販売支援プラットフォームによる取扱生産量は500t/年を見込んでいます。また、生産者グループ全体での新規雇用は30人程度の採用を計画しています。
これまでに得られた成果
栽培施設の環境制御により農作物の周年栽培、および慣行栽培と比較し概ね3割以上の収穫量増大、中身成分を充実化させる複数の環境制御手法を確認しています。また、農業気象計測データ、定植から収穫までの栽培情報にもとづく収穫予測分析機能を実装した農業生産販売支援プラットフォームの開発が完了しています。
2018年度に生産圃場への導入を実施し、専門機関、大学および実需者とのシステム利用検証を継続しています。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
県内全域および周辺地域にて農業生産販売支援プラットフォームを活用したグループ生産を行っていただける新規農業参入を検討している事業者様、高品質野菜の青果物を取り扱っていただける実需者様との連携を期待しています。農業生産や農産物販売の現場では解決する課題がまだまだ残されており、作業効率や作業負荷軽減などの課題解決のためのチャレンジを引き続き行って参ります。