農林水産業

サケマス魚類循環濾過養殖プラントの実用化

事業計画

これまでの自然災害や疾病の発生に左右される養殖方法ではなく、新たに“循環濾過養殖システム”を導入することで、効率的かつ安定的に計画的なサケマスの養殖を可能とし、養殖サケマス魚類の増加需要に対応します。

実施期間

2016-2018

実用化開発場所

いわき市

連携自治体

-

現状・背景

現在、養殖サケマス魚類の需要は増加の一途であり、生産量の増加が課題となっています。生産量を増加させる為には効率良く、安定的に計画的な種苗の生産を行う事が必要となるが、これまでの養殖方法では、予期せぬ疾病の発生や、高水温や低水温、台風やゲリラ豪雨といった自然災害による影響も受けていました。そこで、効率的かつ安定計画的なサケマスの養殖を実現すべく、本補助事業を実施することとなりました。

研究(実用化)開発の目標

<平成29年度(完了)>
平成30年2月:循環濾過養殖プラント造成
平成30年2月:設備機器設置
平成30年2月:硝化細菌培養実証試験
平成30年2月:発眼卵孵化試験
平成30年2月:プラント実証試験
平成30年2月:ハンドリング実証試験
<平成30年度(完了)>
平成31年2月:プラント高密度飼育実証試験
平成31年2月:省力化オペレーション実証試験
平成31年2月:ニジマス以外の魚種でのプラント飼育適応実証試験
実用化後は年間100トン以上の生産を目標とし、売上高換算で90百万円/年間を目標とします。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

本補助事業では、“循環濾過養殖システム”プラントの性能評価を行い実用化を検証します。本方式では、水処理と水質のコントロールを常時行いながら飼育水を循環させて魚を飼育するものであり、魚の飼育環境を常時最適条件に維持でき、高密度でかつ効率的に高い歩留まりで魚の生産が可能となります。更に、これまで人力に頼っていた日常作業(魚取りあげ、選別、計数など)も機械化出来る様な設計とした為、省力化やスピードアップにより大幅な効率化が可能です。また本プランの汎用性について、ニジマス以外の他魚種での運用も可能であることから、付加価値の高い魚種でも安定的に生産が可能となります。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

原発事故以降続く汚染水の問題などにより、県内産の水産物は復旧を遂げられず、未だに壊滅状態です。自然環境から隔離した状況化で、環境をコントロールし養殖する本システムが実用化されると、消費者に対しより安全で更に一歩進んだ福島発の水産物の提供が実現できます。
上述のとおり、年間90百万円の産業となると見込んでおり、福島発の水産養殖技術として、失墜した福島の食の安全の回復に貢献し、福島県浜通り地域の復興にも寄与するものと確信しています。

これまでに得られた成果

平成30年度は、循環濾過養殖プラントの性能を評価すべくその検証を行った。
①高密度飼育実証試験:飼育水1㎥あたりニジマス100kgの飼育量を達成⇒在来型の約5倍の収容密度
②省オペレーション実証試験:開発したタンク底面吸い込み方式の魚回収システムを用い、更に自動活魚選別器や尾数計数器との接続と併せ、省力化と高効率作業を実現した⇒人力の約5~6倍の早さ
③ニジマス以外の魚種でのプラント飼育適応実証試験:北極イワナでの飼育試験を行った⇒習性の異なるイワナ族の飼育が行え、他の魚種でも運用にも問題が無いことを確認

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

本開発の循環濾過養殖プラントは、年々減少する天然漁獲や、更に厳しくなる自然環境に対して、周辺環境に左右されず安定的な魚類の生産を可能とするシステムです。今後益々高まる食料需要に対しても、最も効率的な動物性蛋白源の生産方法としても有力です。今後は再生可能エネルギーやその副産物などの利用なども含め、「イノベーション・コースト構想」に貢献し、浜通り発の先進的な養殖技術として地元復興に寄与できればと思っています。

事業者の連絡先

株式会社林養魚場