農林水産業
自然エネルギーを活用した、IoT営農による産地化促進プログラム「AgriNova」(日本語名「アグリの場」)の実用化開発
事業計画
再生可能エネルギーを活用した与圧式の二重構造温室で育苗を事業化する計画です。内部圧力を保つことで、病害虫予防や安定環境下でのIoT管理育苗を実現しようとします。
また、育苗トレースがスマホ等で簡単に行えるよう、播種段階からの記録にも二次元バーコードによりアクセス、見える化を促進しています。
実施期間
2017-2019
実用化開発場所
南相馬市
連携自治体
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現状・背景
低価格のビニール温室内で二重構造とすることと、自然エネルギーの活用効率を上げ農業事業者の導入意欲が増すようにしたいです。
一方、育種作物に関しても、外部の花卉流通事業者や県内の種苗会社などの意見を取り込み、模索しているところです。
研究(実用化)開発の目標
平成31年度事業の終盤には、実用化の一環として実証実験施設を活用する計画に着手、外部専門家や地域の農業従事者と連携した育苗関連事業を計画しています。
県内種苗会社との連携も具体化思想であり、実用化初年度から売り上げを計上していきたいです。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
一番の特徴である二重構造温室。温湿度、二酸化炭素などのコントロールをしやすくし、安価な施設園芸の実現を目指します。(図1参照)温熱・冷熱のリバースターン配管により、必要とする小温室の環境制御の実証を行いました。次年度の通年実証により、小高地区の気象環境とマッチした育種を選定していく段階にあります。
IoTによる農事管理は、温室内環境のログ及び育苗過程の写真記録、農事に合わせた記録写真などのデータ分析により、新しい管理農業の指標を形成します。当該データは、次年度の通年実証により精度を向上させ、新規就農者の理解促進に繋がる育苗管理プログラムとして先導モデルとなります。(図2参照)
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
帰農者が極端に少ない小高地区において、耕作放棄地の活用は喫緊の課題であるため、当該事業の拡張策を取ることは意義が大きいです。
育苗された作物の販路拡張を念頭に、県内の種苗会社との連携や、大手流通事業者からのオファーが寄せられつつあり、浜通りの農業復興に可能性が見いだされそうです。
また、太陽熱温水器を活用した熱源の効果を証明するなどの地道なアピールを行い、アグリの場WEBサイトを開設して耳目を集めています。
これまでに得られた成果
再生可能エネルギーの活用は以下を実現した。
①太陽光発電設備とリチウムイオン蓄電池の組合せ
②太陽熱温水器と10トンの蓄熱貯湯タンク
③井戸水を活用した10トンの冷熱貯水タンク
④太陽熱温風を導入するビオソーラーシステム
⑤二重構造小温室内を与圧状態に保つ冷温水循環ラジエターファン
IoT管理手法としては
⑥育苗トレイ及び温室内の環境計測と制御
⑦播種から生育過程の画像データを基に育苗状況を分析
⑧農事従事者の活動記録や農事タイミングをデータ化
⑨外部から育苗状況を遠隔監視
等を実証した。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
浜通り地方の安定した気候を活用可能とする、自然エネルギーを利用した新発想ハウスにて、高齢化に伴う離農者減少へ寄与し、更には老若男女問わず低コストにて新規就農可能な魅力ある農業の実現と地域復興に向け取り組んでおります。