農林水産業
デジタルアグリによる大規模水稲生産の効率化
事業計画
減反廃止やTPP11批准、生産者の減少など水稲生産を取り巻く環境が大きく変化する中で、生産者と共存できるような付加価値をもたらす生産者支援統合サービスを提供します。具体的には、圃場等のデータを統合し生産者の意思決定を支援するデジタル営農情報基盤、営農経験の少ない生産者でも早期技能習得が可能なノウハウ共有、G-GAP認証取得を目指す業務標準化支援、ドローンを活用した農薬等の局所散布をセットにしたサービスを構築・提供します。
実施期間
2018-2019
実用化開発場所
南相馬市
連携自治体
-
現状・背景
生産者の高齢化に伴う大量離農時代に気候変動による生産性低下、圃場の大規模化による生産業務の変化、海外輸出に向けたG-GAP対応の必須化など水稲生産者が対応すべき課題が多く、生産者側だけで解決できるものでもありません。生産者と需要家をつなぐ弊社だからこそ、生産者を支援する付加価値サービスを提供できます。
研究(実用化)開発の目標
農業者自身がドローンを操作することにより、更なる効率化へつながるため、ドローンの各種操作をタブレットで操作できるようにします。さらに成育不良箇所を特定し、選別的に肥料を散布する機能具備を目指します。
また本事業で生産者向け統合支援サービスを構築できた場合、2024年には約20,000haの生産者圃場に全国展開し約200億円の玄米購入等を目指します。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
生産者のパートナーとなるべく従前とは異なる視点で生産者の生産性・収益性改善に資する統合支援サービスを浜通り発で全国に展開していきます。
■AIやシミュレーション技術を駆使し、生産者が適切な経営判断を下すために判断材料を提供する営農情報基盤サービス
■コメの輸出拡大を見据えて海外流通業者との取引前提となる、生産者のG-GAP取得支援サービス
■圃場の生育情報と連動したドローンを活用した農薬や肥料の空中散布サービス
■赤外線カメラを搭載したドローンの空撮による、圃場均平化作業の情報提供サービス
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
弊社は、本事業で開発した生産者統合支援サービスを通じて、圃場の大規模化に伴う収量減少や管理コスト増加などを
抑制することで収量増加やコスト削減の実現をご支援します。
土壌成分や水稲品種の組み合わせで効果が異なるため、1~2年の試験運用期間中に標準業務や情報基盤のモデルパラメーターの微調整を行います。その結果、導入後3年程度で従来農法と比較して、浜通りの対象生産者の収量約5~10%増加を見込みます。
これまでに得られた成果
■生産者統合支援サービスを構築・提供する9社からなる企業連合体組成
■圃場等の情報を把握し将来の予測を行うデジタル営農情報基盤のプロトタイプ構築および運用
■G-GAP取得支援に向けた大規模水稲生産の標準業務定義
■生育状況の可視化による生育不良部分に対するドローンを使用した局所的肥料散布
■2019年度から圃場で行う効果検証の体制構築
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
水稲生産現場には大きな変化が訪れています。震災からの復興途上にある浜通りでは、この変化を先取りし新たな生産方法を確立することで、先導的な役割を担うと考えています。
米穀の卸売業に携わる弊社は、水稲生産者の皆さまの良きパートナーとして水稲生産振興に微力ながら貢献し、新たな消費拡大を目指していきたいと強く思います。