農林水産業
中大規模木造建築物に対応した新たな接合方式の開発
事業計画
中大規模木造建築物に対応した新たな接合方式の開発
建設需要に対する恒常的な労務不足への対応や、建設部門が取り組むべき地球温暖化への貢献など、昨今の社会状況を踏まえ、製作時及び施工現場での労務量の大幅な削減と規格部材のリユースによる環境負荷の低減を可能にする新たな接合方式の実用化開発を目指します。開発内容は、木質部材の接合方法の開発、その中核となる接合金物の開発、金物を接合するビスとビス打ち機械の開発、付帯する性能試験です。
実施期間
2017-2019
実用化開発場所
いわき市
連携自治体
-
現状・背景
建設現場の労務不足が深刻化しており、その対策のひとつとして、高い技能を必要としない工法の採用があります。これにより、異業種からの人材確保など、広く人材を確保することが可能になります。
また、現場作業工程の簡略化により、労務量自体を大幅に削減することで問題解決に貢献することもできます。
今回取り組む、新たな接合方式の実用化によって、これら2つの観点から労務量の確保が容易となり、同時に工期の短縮と、規格部材のリユースによって廃棄物を大幅に削減し、低コスト、低環境負荷を実現することが可能となります。
また、法制が整いつつある中大規模木造建築の普及に貢献することで、国産材の需要を活性化し、林業や地域経済の発展の一助となると考えています。
研究(実用化)開発の目標
平成32年度には開発した金物を実物件に盛り込んでいき、実用化を図る。その後徐々に数を増やしていき平成36年には木造住宅・非住宅とわず自社加工、工事物件の接合部の金物のシェア率50%を目指していきたいです。
また、工場内ではビスによる工程が増幅するためビス打ち込みの要因として雇用を検討しています。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
開発している金物の特徴は、柱と梁の接合をひっかけるだけのワンタッチで完了する点にあります。従来の接合金物は、接合の仕上げとして複数のドリフトピンを打ち込む必要があり、建物規模が大きくなり接合部が増加するにともなって現場作業量も増大します。同時に部材の側面にはピンや金物が露出し、美観上の課題となっていたが、新規開発の接合金物は接合面のみの露出にとどまり、工夫によってすべて隠蔽することも可能となります。この特徴により、労務量の削減に加えて、美観上の優位性を獲得することが可能となります。
また、取外しもワンタッチとなることで性能劣化もなく数度のリユースも可能となります。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
地域の山林で育った地域材の需要を生み、林業や木材の加工、流通、設計業務など、地域経済の発展のサイクルの一助となることが期待できます。
これまでに得られた成果
接合金物の構造は、オスとメスの対となる金物を梁端部にオス、柱・梁側面にメスを設置し、オス側の梁部材を上部から落とし込むことで接合が完了します。ワンタッチでひっかける構造によって、取外しもワンタッチとなることで性能劣化もなく、部材を規格寸法で設計することで、相当期間、数度のリユースも可能となります。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
木材一次産業として新製品の開発が困難でしたが、昨今非住宅分野における木造化が劇的に進んでおり、接合部の開発が急務でした。この開発を実用化できるようになれば、国(いわき市浜通り地域も含む)の木材利用率が上がり、国内への林業含め国に還元でき、木造業界の需要拡大、活性化、雇用にもつながると考えています。