エネルギー・環境・リサイクル

二酸化炭素回収システム~大気中から二酸化炭素を回収し資源として供給~

事業計画

再生可能エネルギーを利用した大気中の二酸化炭素回収システムの開発

再生可能エネルギーの活用と、二酸化炭素の削減・再利用を両立したモデルの相馬市での実現に向けて、大気中から低コストで二酸化炭素を回収するDAC装置を開発します。DAC装置は、工業分野や農業分野など多用途での展開を念頭に置き、フレキシブルな構造で簡便な操作としてユニット化を図ります。

実施期間

2020-2021

実用化開発場所

相馬市

連携自治体

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現状・背景

二酸化炭素は、地球温暖化抑制のため削減は急務となっていますが、ドライアイスや炭酸飲料など身近なところで資源として大事な役割も担っています。簡易な小型の装置で大気中から二酸化炭素を回収し、温暖化抑制と資源確保を同時に解決する二酸化炭素回収・再利用事業を実現します。

研究(実用化)開発の目標

弊社は2018年に「そうまIHIグリーンエネルギーセンター(SIGC)」を開所し太陽光発電の電力を地産地消するスマートコミュニティ事業の実証を開始し、余剰電力を各種エネルギーに変換することで、再生可能エネルギーを最大限に活用することを推進しています。同センター内で弊社が保有しているCCS技術を応用し、直接大気中から二酸化炭素を回収するシステムを開発することを目標とします。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

●DAC装置の役割
二酸化炭素排出設備からの排出抑制ではなく、すでに、大気中に排出され累積している二酸化炭素を回収することで二酸化炭素削減に貢献します。
●DAC装置の原理
DAC装置は図1に示すように二酸化炭素吸着体を有する容器内へ送風機から空気を供給し、十分に二酸化炭素を吸着させたのち、吸着体の温度を二酸化炭素の脱着温度まで加熱することにより二酸化炭素を回収します。
●DAC装置の特徴
二酸化炭素を回収するために、余分な二酸化炭素を排出しないように再エネ余剰電力を活用するシステムとし、身近に利用できるようにユニット化され簡易な操作性とフレキシブルな構造を特徴とします。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

●産業創出効果
DAC装置の製造を相馬市企業へ委託することで、地元企業の技術向上や売上向上に寄与することが見込まれます。小型ユニット構造のため、新たに大きな製造設備を導入することなく製造することができます。
●地域活性化
SIGCにおける再エネ余剰電力を活用した各種技術にDAC装置が加わり技術メニューの充実によって、更に多くの方々に来場頂くことで、相馬市への人の往来を通じた地域活性化へ貢献します。

これまでに得られた成果

●小型DAC装置開発
太陽光発電電力など電力のみで駆動し、容易な運転操作、ユニット化によるフレキシブルな構造のDAC装置を実現しました。
●吸着材の開発
基礎試験より低圧損性と吸着性能を満足する実証機用吸着材を作製しました。今後連続運転での耐久性確認を進めて参ります。
●二酸化炭素回収評価技術
吸着材の二酸化炭素吸着特性を把握するための評価技術を確立し、更なる吸着材の高性能化を図ります。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

脱炭素社会の実現に向けて全国的に分散して存在する再エネ余剰電力の活用が課題となっています。電気だけで駆動する小型のDAC装置を分散配置することで、余剰電力を活用して大気から二酸化炭素を回収し、身近な施設園芸などで利用する取り組みを開始することができます。DAC装置が身近な装置として皆様に認識してもらえる様に技術開発を進めて参ります。

事業者の連絡先

株式会社IHI

東京都江東区豊洲三丁目1番1号 豊洲IHIビル

TEL : 03-6204-7092(担当:技術開発本部 技術企画部)