エネルギー・環境・リサイクル

電力消費量1/100以下、成形時間1/60でスマホ筐体製造可能な精密鋳造技術

事業計画

環境配慮型革新的アルミニウム超精密成形技術の開発

スマートフォン等の携帯用電子機器の筐体等の精密金属製品を、従来の切削加工とは全く異なる、エネルギー消費量1/100以下、成形時間1/60とする革新的な低環境負荷で量産可能なホットチャンバー精密鋳造技術を開発しています。加えて新しく開発するホットチャンバー機のセラミックス部品の寿命延長、部品点数削減により、機械のコストダウンを図ります。

実施期間

2018-2020

実用化開発場所

川内村

連携自治体

-

現状・背景

スマートフォン等の小型電子機器用筐体は、金属塊から部品を削り出す切削加工で成形されているため、加工時間が長く多量の電力を消費します。国内の筐体製造拠点の国際競争力を維持・強化するために、電力消費量が少なく、加工時間の短いホットチャンバーダイカスト技術を開発します。

研究(実用化)開発の目標

本年度で終了する開発目標は下記のとおりです。
①超低環境負荷型ホットチャンバー精密鋳造装置:ショット数15000以上の達成
②スマホ金属製筐体:表面度10~50μmの達成
売上は事業化初年度(令和3年度):2.75億円、雇用:5名を見込んでいます。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

下記の2つの技術を開発しています。
①携帯用小型電子機器の筐体を年産数百万個単位で大量生産可能な、超低環境負荷型ホットチャンバー精密鋳造装置
②表面に自由な凹凸(リブ、突起等)を付与できる精密鋳造プロセス技術によって製作された金属筐体
①に関しては、射出機構の長寿命化を図るために、縦型改善試作機(図1)を作製し、その技術及び機械の性能評価を行います。②に関しては、シミュレーションモデルを基にした精密金型を作製し、実湯による検証を踏まえた技術開発を行います(図2)。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

小型電子機器の筐体生産に止まらず、イノベーション・コースト構想が包含するロボット産業、廃炉事業、新エネルギー産業、リサイクル産業、医療機器産業等の各産業分野にそれぞれの部素材を提供する裾野産業集積を構築します。
これにより、幅広い産業への部素材供給を担う産業が浜通り地域に形成され、その経済的な影響は大きく、福島浜通りで国内スマートフォン筐体の生産・供給が実現すれば、年間数百億円、複数の産業への部素材供給構造が実現すれば、その数倍の経済効果が見込まれます。

これまでに得られた成果

①超低環境負荷型ホットチャンバー精密鋳造装置
●空気遮断弁設置、セラミック駆動部品(主筒、プランジャー)を全て溶湯に浸漬することにより、縦型25t試作装置で摩耗抑制を確認。
②スマホ筐体
●真空鋳造装置導入、金型へのカーボンコーティングにより表面性状良好なスマホ筐体製造を実現。
●スマホ筐体以外の精密部品製造に成功。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

本開発の実用化・事業化後に、数年間の「ホットチャンバー精密鋳造装置の拠点整備による福島復興促進プロジェクト」の推進を計画し、福島県内の希望する鋳造メーカ、部品メーカを募り、ホットチャンバー精密鋳造装置の販売、装置の整備訓練を行い、ネットワークを構築します。

事業者の連絡先

株式会社菊池製作所

東京都八王子市美山町2161-21

TEL : 0240-25-8841(担当:佐藤健一)

MAIL : kenichi.sato@kikuchiseisakusho.co.jp