エネルギー・環境・リサイクル

一般産業から発生する石炭灰を活用した人工砕石を製造し、浜通りの建設工事に提供

事業計画

県内発生製紙会社石炭灰の有効利用

現在弊社で製造している石炭灰混合材料(人工砕石)は、県内の火力発電所から発生するものを使用しています。一方、県内では製紙会社をはじめとした一般事業者の発電設備からも石炭灰は発生しており、事業安定化における入口戦略の観点から、これらの石炭灰の基本特性を検証して人工砕石の原料としての利用技術の開発・実用化を目指します。

実施期間

2018-2020

実用化開発場所

南相馬市

連携自治体

-

現状・背景

わが国における石炭灰の発生量は約1,300万t/年であり、内訳としては電気事業系が約900万t/年、一般事業系が約400万t/年と報告されています。前者が石炭を単焼したものが殆どであるのに対して、後者はバイオ混焼したものも多く、石炭灰の品質データが少ないためリサイクルが進んでいないのが現状です。

研究(実用化)開発の目標

福島県における電力事業者(石炭火力発電所)から発生する石炭灰は約170万t/年であり、全国の約20%を占めています。また、県内では石炭火力発電所以外の製紙会社工場等からも石炭灰が発生しており、本実用化開発ではこれらを混合利用して人工砕石を製造する技術を確立して県内産業廃棄物量の低減を目指します。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

製紙会社等の比較的小規模発電設備で発生する石炭灰には、石炭のみを燃焼させた専焼灰と、バイオ燃料等を混合して燃焼させた混焼灰があります。前者は弊社が通常使用している電力系石炭灰と比較しても、品質上の大きな差異がないことが確認されています。一方、後者については公表されている既存研究報告およびデータも少なく、その使用においては十分な環境安全性の検証が必要となります。
また、1事業所からの発生量に関しては火力発電所に比べると少量であることから、本実用化開発では製紙会社等から発生する石炭灰を助剤的に混合利用(10~20%を想定)する技術を確立することで、浜通りの産業廃棄物低減に貢献したいと考えています。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

本実用化開発の成果は、県内産業廃棄物のリサイクルを実現して埋立処分場の延命化にも寄与します。また、コンクリート廃材を用いた再生砕石の代替品を製造することで、浜通りの各種復興工事の骨材(資材)不足の解消に貢献します。さらに、バイオマス発電所の新規建設を検討する場合の灰処理問題を解決することで、新規企業の進出(工場誘致)のインセンティブとなることが期待できます。

これまでに得られた成果

本実用化開発は平成30年度から実施しており、県内製紙会社における2種の石炭灰(専焼灰および混焼灰)の基本特性を把握しております。また、電力系石炭灰も火力発電所間で品質の差異があることから、開発成果の実用性を高める目的で、近県製紙会社、県内他業種石炭灰についても各種試験を実施して人工砕石製造への適用性を検証し、安全性および経済性を満足する混合および品質管理基準を構築しました。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

県内で発生する多種多様の石炭灰の有効利用を実施することで、浜通りで発生する産業廃棄物を、浜通りの復興工事で活用する有用な資材に生まれ変わらせる「産業廃棄物の地産地消」の実現を目指しております。弊社の技術が活気のある浜通りの実現に少しでも貢献できることを願っています。

事業者の連絡先

福島エコクリート株式会社 / 一般財団法人石炭エネルギーセンター

福島県南相馬市小高区女場字猿田1番地23 / 東京都港区西新橋3-2-1

TEL : 0244-26-4198(担当:堀川剛利) / 03-6402-6103(担当:長谷川武治)

MAIL : horikawa@fukushima-ec.com / hasegawa@jcoal.or.jp