電力消費量1/100以下、 成形時間1/60でスマホ筐体製造可能な精密鋳造技術

スマートフォン、タブレット等の携帯用小型電子機器用の筐体はアルミニウム等の金属製であるが、金属塊から1つの部品を削り出す切削加工(削り出し)で成形されているため、 加工時間が長く多量の電力を消費します。国内の筐体製造拠点の国際競争力を維持・強化するために、電力消費量が少なく、加工時間の短いホットチャンバーダイカスト技術を開発します。

3 年後の開発目標は下記のとおりです。
①超低環境負荷型ホットチャンバー精密鋳造装置:ショット数 15000 以上の達成
② スマホ金属製筐体:表面度 10 ~ 50 μ m の達成
売上は事業化初年度(令和 3 年度):2.75 億円、雇用: 5 名を見込む。

浜通り地域への経済波及効果（見込み）

小型電子機器の筐体生産に止まらず、イノベーション・コースト構想が包含するロボット産業、廃炉事業、新エネルギー産業、リサイクル産業、医療機器産業等の各産業分野にそれぞれの部素材を提供する裾野産業集積を構築します。 これにより、幅広い産業への部素材供給を担う産業が浜通り地域に形成され、 その経済的な影響は大きく、福島浜通りで国内スマートフォン筐体の生産・供給が実現すれば、年間数百億円、複数の産業への部素材供給構造が実現すれば、その数倍の経済効果が見込まれます。

これまでに得られた成果

初年度の基礎実験を踏まえて、今年度は下記の成果が得られました。
(1) セラミック部品の長寿命化に資するセラミックの磨耗抑制のためには、 鋳造時の巻き込み空気の侵入防止が効果的であることを見出し、 空気遮断弁設置により達成した。
(2) スマホ筐体の表面性状を良好にする方策として、 金型内面へのカーボンコーティングが有効であることを見出し、 実湯試験で検証した。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

(1) 本開発の実用化・事業化後に、数年間の 「環境配慮型ホットチャンバー精密鋳造装置の拠点整備による福島復興促進プロジェクト」 の推進を計画し、福島県内の希望する鋳造メーカ、部品メーカを募り、 ホットチャンバー精密鋳造装置の販売、装置の整備訓練を行い、 ネットワークを構築します。
(2) 小型電子機器の筐体生産に止まらず、ロ ボット産業、廃炉事業、新エネルギー産業、リサイクル産業、医療機器産業等の各産業分野に対し、 それぞれの部素材ニーズを把握して、これらの産業全体にも部素材を提供する裾野産業集積を構築します。