エネルギー・環境・リサイクル
新規なフッ素樹脂の開発とその製造技術
事業計画
フッ素樹脂は優れた化学的安定性を有しており、様々な用途で利用されています。本検討では、近年、蓄電デバイスとして需要が増加しているリチウムイオン電池のさらなる高性能化に寄与できる新規フッ素樹脂の開発を目指しています。その他、金属等重量素材をフッ素樹脂で置き換え軽量化することで作動エネルギー低減を目指した開発、さらには、高効率な製造法開発も併せて行っています。
実施期間
2017-2019
実用化開発場所
いわき市
連携自治体
-
現状・背景
リチウムイオン電池では、用途に依らず、小型・高容量化が求められており、今後、電池形態が多様化してくると予想されます。多様化するニーズに適応するため、電池材料となるフッ素樹脂には、電池作製プロセス適性を加味した上での性能向上が求められています。また、蓄電池市場拡大に伴うフッ素樹脂需要増加を見込んでおり、生産性向上が必要であります。
研究(実用化)開発の目標
平成34年度(2022年度)頃に新プラントでの生産開始を目標にしています。そこに向けて、平成31年度(2019年度)まで段階的にスケールアップ検討を進め、投資判断をする。新プラントが操業に至ると、売上50億円相当の事業創出、約20人の雇用拡大を見込んでいます。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
近年のエレクトロニクス分野の進展は目覚ましく、IoTへの注目度も日に日に上がってきているが、IoT関連技術の中で蓄電デバイスの進化は相対的に遅く、蓄電デバイス技術の革新が求められています。また、エネルギー源CO2削減の動きが活発化してきており、再生可能エネルギーを安定的に運用するために蓄電デバイスは注目されています。さらに、エネルギー源CO2削減としては自動車・航空機などの軽量化も重要な技術テーマとなります。こうした中において、電池性能向上に寄与できうるフッ素樹脂開発、あるいは金属等重量素材の代替材料としてのフッ素樹脂およびその加工技術開発を行う意義は大きいが、フッ素樹脂を量産すること自体、特殊な技術を要するものです。本検討では、弊社が有するフッ素樹脂製造に関する技術をベースに、さらに、高機能化のための手法を加え、先進的なフッ素樹脂開発を行います。開発に至れば、蓄電デバイス技術の革新、軽量化によるエネルギーの効率運用に繋がる材料となりえます。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
新規なフッ素樹脂の開発およびその製造技術開発及びそれらの生産活動をいわき市にて実施すると、雇用の拡大が図れ、経済活動の活性化に貢献します。さらに、先進的な電池用途の新規なフッ素樹脂が開発されることで、「いわき市=蓄電池材料産業」との認識・注目度は高まり、電池関連分野の産業誘致の促進が図られるものと考えられます。産業誘致に至れば、人財流入等により経済活動の活発化が図られます。
これまでに得られた成果
昨年度のラボ検討で、電池の高容量化に寄与できうる新規なフッ素樹脂を見出し、また従来比で生産性向上を見込める手法の実証に至りました。今年度は、昨年度の成果をベースに、ラボから一段スケールアップし、パイロット検討を進めました。現段階で、スケールアップによる課題は抽出されておらず、ラボ実証品と同等物性の樹脂が製造可能であることを確認しています。並行して、実生産可能なプロセス案の構築も進めており、今後は量産化へ向けて、実生産スケールで最終的な確認を行います。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
「イノベーション・コースト構想」は新たな産業基盤の構築を目指しているが、そのためには、新しい工業材料の開発、新しい社会システムの構築、など個々課題の解決はもちろんのこと、分野を跨いだ連携は必須であります。イノベーション・コースト構想を通して他分野・他企業と効果的な連携を進め、新たなイノベーションを引き起こし、浜通りの〝復興”から〝飛躍”へ転じることを強く願っています。