エネルギー・環境・リサイクル

農林残渣を対象とする有価物抽出・高熱量ペレット燃料製造準連続処理系の技術開発

事業計画

スィートソルガムの糖液搾汁残渣と地産木材を原料とし、100℃以上に加熱した高圧の水がもつ高い反応性を利用する当社新開発の準連続式亜臨界水熱爆砕処理システムを使用することにより、高性能のペレット燃料と有価抽出物を生産します。高性能ペレット燃料とスィートソルガム糖液から製造するバイオアルコールによるバイオマス発電熱供給事業を実現させ、新産業の創生と農林業復興を目指します。

実施期間

2017-2019

実用化開発場所

南相馬市、飯舘村

連携自治体

-

現状・背景

エネルギー作物栽培事業は、燃料生産工程の効率化や副産物利用を徹底しないと収益性が確保できません。一方、地産木材によるバイオマス発電熱供給事業は、木材の安定確保が困難で事業化が進んでいません。新開発技術によって作物残渣から高性能ペレット燃料が生産でき、副産物からも収益が得られるようになれば、両事業を一体化し浜通りに展開することができます。

研究(実用化)開発の目標

2021年を目標に、浜通りに1,000ha以上の規模のスィートソルガム栽培事業と、1MW級以上のバイオマス発電所による熱電供給事業を組み合わせた標準モデル事業を立ち上げます。
この標準モデル事業1件で総額15億円の売上げ、50億円の設備投資、雇用50名以上を見込んでいます。森林資源の利用についても、除染の進捗に合わせて順次進めていきます。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

本事業では、エネルギー作物栽培事業とバイオマス発電熱供給事業に十分な採算性と事業安定性を付与するために必要な「エネルギー作物残渣から高性能ペレット燃料と高付加価値副産物を製造する」新技術の開発を行っています。本技術には、
①スィートソルガム残渣を原料として、木質チップ級の熱量をもつ低灰分高性能ペレット燃料の生産と付加価値の高い副産物の抽出生産ができます。
②酸やアルカリなどの薬剤をほとんど使用しない処理方法によるので、環境負荷が低いです。
③プロセスを根本から見直し、総合的にエネルギー利用効率が高い、低コスト処理システムを構成しています。
といった特徴があります。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

本事業で開発する新技術によれば、中小規模でもエネルギー作物栽培事業とバイオマス発電熱供給事業の採算性が確保
できるので、経済的合理性を保ちながら事業規模を順次拡大していくことが可能で、最小限の経済的なリスクで新産業の
創生・導入が可能です。
また、スィートソルガム栽培事業は、農地保全と農業復興に資するものです。森林資源の活用については、本格的には森林除染の進捗を待つ必要がありますが、小規模な森林バイオマス利用に対しても適用できるので、林業復興のスタートアップにも寄与できます。

これまでに得られた成果

①スィートソルガム残渣から木材チップ相当の発熱量をもつ低灰分ペレット燃料の生産方法を開発しました。
②スィートソルガム搾汁糖液の長期室温保存を可能にする新プロセスを開発しました。これによりアルコール発酵工程の年間平準化が可能になり、コストダウンが期待されます。
③従来の燃料用エタノール製造工程を簡素化した低濃度エタノールの製造工程を開発しました。次年度から、この燃料によるディーゼル発電の検討を開始します。
④リンなどの有価成分をより低コストで抽出利用するプロセスを開発しました。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

本技術は、従来は中小規模では事業化が困難なエネルギー作物の栽培とバイオマス発電に採算性を与えるものです。また、新産業の導入や新規雇用を創出するだけではなく、農林業の復興にも資するものです。既に、本技術に興味をお持ちの行政や企業の方々が実証現場を視察されております。
本技術は、浜通り地域等のバイオマス産業都市構想や中小規模のバイオマス電熱供給システム導入を計画中の市町村や関連企業のお役に立てるのではないかと思います。ご相談やご要望をお待ちしております。

事業者の連絡先

創イノベーション株式会社