エネルギー・環境・リサイクル

地域の再生可能エネルギーの最大活用を目指した下水汚泥処理システムの実用化開発

事業計画

再生可能エネルギーの潜在的な余剰電力を活用して下水汚泥を乾燥させることにより,減容化・燃料化する下水汚泥処理システムの実用化開発を行います。

実施期間

2016-2018

実用化開発場所

相馬市

連携自治体

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現状・背景

■下水汚泥には潜在的に未利用のエネルギーがありますが,汚泥乾燥処理システムの導入費用や運転・保守費用の制約から当地域の下水汚泥は県外業者に産廃処理を委託しています。
■再生可能エネルギー(再エネ)の余剰電力が発生しています。電力系統容量の制約から太陽光・風力発電電力等の系統接続・逆潮流ができないケースが増加しています。

研究(実用化)開発の目標

2018年度に、効率改善によるコスト低減について、実証機を用いた所定の実用化開発を完了しました。
2019年度は、新たに獲得した解析・評価手法によって、自社研究において更なる効率改善を継続検討します。また相馬発の実績をベースに、乾燥システムを国内の同規模の下水処理場に展開させるべく活動を開始します。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

■高効率な乾燥機システムと最適運転制御の開発
乾燥途中で高粘度になる汚泥を乾燥させる乾燥機の撹拌技術と、汚泥投入方法を構築します。また、電気から変換した熱エネルギーを効率よく使うため、乾燥時間を短縮し、必要な動力を低減します。
■再生可能エネルギーの余剰電力を最大活用可能なエネルギーシステムの開発
 変動の大きい再生可能エネルギーの余剰電力を熱エネルギーに変換・蓄熱し、乾燥機への最適な熱供給を行います。これにより再生可能エネルギーの地産地消の実現に貢献します。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

■下水汚泥処理費用の削減
当実証機クラスの設備が事業化された場合、下水汚泥の削減量は約900t/年、削減効果は約1600万円/年となります。また、効率化検討の結果、最大1.5倍の効果を見込むことができます。
■研究員の交流人口増
2018年4月の実証開始以降、ご視察者は200人を超え、大変ご好評を頂いています。
■運転・保守人員の成長
当事業を通じ、地元の協業企業でボイラ技士が新たに3名合格し、全ての運転プロセスを自律的に遂行できるレベルに達しています。

これまでに得られた成果

■実証機本体設計・製造・据付・試運転を完了しました(FY2017)。
■再生可能エネルギー最大活用のための太陽光発電との連携システム構築
CEMSからの指示に応じた再エネ電気の地産地消を実現し、熱利用の構築プロセスを確立しました。
■更なる乾燥機熱効率改善を目指した解析モデル構築
実証研究の成果として、時間帯により高粘性となる下水汚泥の解析・評価技術を獲得しました。これにより高額な実機サイズの実証を回避した上で効率改善に向けた評価が可能となります。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

■国のエネルギー基本計画では再生可能エネルギーの導入が更に加速され、電源系統容量の制約で系統に送れない「余剰電力」が増加します。相馬発の実績をベースに、これを活用し、産廃処理している下水汚泥の減容化、燃料化を行うシステムを実用化、事業化していきます。
■協業企業の皆さんは、全くの素人から精力的に勉強して資格を取り、自律的に運転出来る様になりました。心からの敬意を表するとともに地域への希望を新たにしました。

事業者の連絡先

株式会社IHI