エネルギー・環境・リサイクル

総合リサイクルセンターの処理スキーム開発

事業計画

資源の少ない日本において、循環型社会の実現や資源効率の最大化は、持続可能社会を形成するために必要不可欠です。今後の静脈産業のあり方として、動脈産業の状況を的確に捉え、新商品・新素材のリサイクル技術を提案し続けることが重要と考え、静脈スキームが確立されていない先端素材等や有用金属の回収が十分ではない廃棄物等を対象に、浜通りに高効率資源化の拠点を作ることを目標に技術開発します。

実施期間

2016-2018

実用化開発場所

南相馬市、大熊町

連携自治体

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現状・背景

本事業では、太陽電池パネル(以下PV)および小型家電を対象に、リサイクルスキームの開発に取組んできました。PVについては、解題となるのが重量の7割を占めるガラスリサイクルの手法を確立し静脈物流が滞留しないことを主眼に、また、小型家電は経済的な観点から高度選別による貴金属回収率の向上を重点に実施しました。

研究(実用化)開発の目標

浜通り地域でリサイクル事業を開始します。特に、PVについては2020年に事業を開始し、まずは売上高1,000万円を目指し、段階的に施設増強することで静脈物流の開拓および安定化を図っていきたいです。小型家電リサイクルに関しても、高効率化を図り排出状況と利益採算性を見て事業化のタイミングを見極め、廉価家電もリサイクルルートに乗るスキームを構築していく計画です。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

PVガラスのケミカルリサイクルにおいて、カルシウムを添加して加熱処理し、その後水洗処理することによりセメントの忌避成分であるナトリウムを除去できることが確認できました。セメント需要は年間4000万tであり、その内の20%超がガラスの主成分であるシリカです。シリカの需要は極めて大きいといえます。
小型家電リサイクルでは、破砕工程でスクリーンサイズの条件を、また選別工程で高磁力選別機、エアテーブル、渦電流選別機の組合せで最適な組合せ条件を探索しました。組合せ条件は多数あり、網羅することはできないまでも、スクリーンサイズの各選別機、回収品位に与える影響などを確認できました。

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

本取組みの狙いは、スマートエコパーク構想で期待されている核となるリサイクル事業の礎を形成することです。これらの活動は、地域復興を促すとともに、帰還時に発生する廃棄物などのリサイクルや処理の受け皿としての機能を果たす
ものと期待しています。
さらに、本地域で多種多様な対象物のリサイクル事業を発展させ、リサイクル事業のコンビナート化を図ることにより、福島県浜通りに日本で先端的な総合リサイクル拠点の構築も可能になり、帰還住民の雇用の創出に役立つと考えています。

これまでに得られた成果

PVガラスリサイクルに関しては、カレットでのマテリアルリサイクルにはロット管理や成分表添付等の体制作りが重要であることが判明しました。また、ケミカルリサイクルを志向した場合、加熱処理によりナトリウムを除去することによりセメント化が可能であることが確認できました。ただし、大型装置での操業には、技術的課題が残りました。
小型家電に関しては、高度選別の組合せ条件の最適化を行いました。今後さらに回収効率を向上させるためには、選別機の前処理としての破砕工程が鍵であることが判明しました。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

福島県浜通り地域は、南北に小名浜港、相馬港を備え広域物流としての優位性があると考えています。この優位性をうまく活かして、リサイクルの広域処理の拠点、近隣事業者の連携体制を構築することが可能になれば、復興はもちろんのこと、将来世代への浜通り地域の発展の礎となります。この取組みは、国や地方自治体、多くの企業、住民の皆様とあらゆる方面から応援をいただいており、実現に向けて着実に前進していると実感できています。今後もご支援のほどよろしくお願いいたします。

事業者の連絡先

株式会社高良