エネルギー・環境・リサイクル

石炭灰リサイクル製品(再生砕石)製造技術の開発

事業計画

石炭火力発電所から発生する石炭灰を原材料に、復興工事等で利用するリサイクル資材(再生砕石)を製造する福島エコクリート事業においては、再生砕石の主な用途である路盤材としての所用品質の確保と、製品の環境安全性の確保が重要な課題となっています。本開発はこの課題を解決することで、福島エコクリート事業を円滑化させるものです。また、事業の長期継続を目的に、路盤材以外の市場拡大に向けた新規分野の研究開発も行っています。

実施期間

2016-2018

実用化開発場所

南相馬市

連携自治体

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現状・背景

東日本大震災に伴う原子力事故により、ベース電源としての石炭火力の位置付けが高まっているが、発電に伴い発生する石炭灰のリサイクルは、その約7割をセメント原料利用に頼っており、多分野への利用が望まれています。また、福島県における石炭灰の発生量は全国発生量の19%を占めており、産業廃棄物の地産地消が望まれています。

研究(実用化)開発の目標

福島エコクリートはH30年3月から事業を開始し、H31年1月末時点で再生砕石(ORクリート)の製造量は5万tを超え、4万t以上を県内工事に出荷しています。事業の年間の売上は約7億円を見込んでおり、初年度は6.5億円程度となる見込みです。また、H31年2月時点での従業員は30名であり、内22名が地元雇用者となっています。更に3月に2名、4月新卒者(小高産業技術高校)の雇用を決定しています。

研究(実用化)開発のポイント・先進性

石炭灰混合材料の事業化においては、製品の環境安全性の確保が重要な課題です。即ち、石炭灰リサイクル資材からの有害重金属の溶出抑制技術の確立が事業を成功に導くためのポイントとなっています。開発技術の先進性は下記の通りです。
■品質に関わる膨大な情報をデータベース化
■データベースをもとに最適な製造条件をシステム管理
■コーティング技術をはじめとする多重の重金属等溶出抑制技術の開発
■石炭灰混合材料の新規市場の開拓
■製品の安定供給システムの構築
■路盤材としての評価

浜通り地域への経済波及効果(見込み)

福島県浜通りで避難解除となった地域、および今後避難解除となる地域では復興事業に伴う土木資材の需要が見込まれており、福島エコクリートでは本開発成果をもとに、これらの地域に環境安全性を確保したリサイクル資材を安定供給することが可能です。また、製品の販売は地元の砕石業者2社と代理店契約を行うことで、地元経済の活性化にも寄与しています。

これまでに得られた成果

本開発はH28年度から実施しており、これまで下記の研究成果を得ています。
①石炭灰のデータベースシステムの構築
②データベースを用いたリサイクル資材
の製造システムの構築
③石炭灰リサイクル資材の新規用途の開拓
④再生砕石(ORクリート)の路盤材への適用性

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

福島エコクリートは「イノベーション・コースト構想」のひとつである「石炭灰混合材料の事業化」を実現するものであり、環境安全性を確保したリサイクル資材を製造し、浜通りの復興工事に供給することを目的に設立された会社です。このため、国、自治体等および民間の工事での積極的な採用を期待します。

事業者の連絡先

福島エコクリート株式会社 / 一般財団法人石炭エネルギーセンター