エネルギー・環境・リサイクル
日産リーフ使用済みリチウムイオン電池を活用したバイパスシステム開発
事業計画
使用済みリチウムイオン電池の性能は個体ごとにばらつきが大きいが、本事業で開発するバイパスシステムにより無駄なく組み合わせることが可能になります。組み合わせた電池を家庭用及び産業用の蓄電システムとして実用化を行います。
実施期間
2018-2020
実用化開発場所
浪江町
連携自治体
-
現状・背景
地球温暖化問題、エネルギー問題を背景に電動車の導入拡大が進んでいるが、電池材料の資源問題等から、電動車での使用済み電池を再利用していくことが重要となっています。しかしながら、使われ方や使用環境により電池の劣化度が異なり電池毎に容量がばらつきます。ばらつく電池を組合せた場合、最も容量の小さい電池に全体性能が律速され効率が悪くなるという課題があります。
研究(実用化)開発の目標
フォーアールエナジーは使用済み電池の再利用・再製品化事業を行う拠点を福島県双葉郡浪江町に2018年3月に設立し、世界初で稼働を開始しました。バイパスシステムとEV使用済み電池を組み合わせた蓄電システムは大きな競争力を有すると考えており、開発を成功させ、弊社浪江事業所での生産、及び雇用を大きく拡大していきたいです。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
フォーアールエナジーは日産自動車の子会社であり、日産の電気自動車(EV)の使用済み電池を優先的に入手できる状況です。また、その電池は信頼性・安全性が高く、かつ二次利用するため価格も安価で提供可能という特徴があります。
電池のバイパスシステムはオーストラリアのRelectrify社が開発、電池の再利用に有望な技術で、「バイパスシステムにて最大20%の追加容量が可能になる。電池寿命が最大30%延長可能になる」とオーストラリア連邦科学産業研究機構にて確認されています。しかし、Relectrify社での開発は基礎研究のみ。日産EV用電池に適用できるか確認できておらず、製品化開発も未実施です。
このフォーアールエナジーの電池の特徴とRelectrify社のバイパスシステムの特徴を組合せ、信頼性、安全性が高く、かつ安価な家庭用・産業用蓄電システムを製品化していきたいと考えています。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
本バイパスシステムを採用していく事が直接の売上げ増に寄与すると見込まれる事もあり、これより技術・開発要員が必要になっていくと思われます。雇用の増加につながるものと見込んでいます。又予想通りにビジネスが拡大すれば一時的な半製品、商品の保管場所も必要になると思われるので本地域での倉庫場所の確保につながる可能性もあると判断しています。又、副資材の購入、廃棄物の処理といった副次的な効果も増すので出来るだけ地元企業を採用したいと考えます。
これまでに得られた成果
中古の日産EV用電池パックから意図的に性能がばらついた電池を組み合わせて試作機を製作し、バイパスシステムの性能および電力系統に繋げるための交流化機能(インバーター機能)を評価、正しく動作することを確認しました(系統非連系)。次のステップとして系統連系する電池パックを製作する予定です。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
弊社は東日本大震災後に浪江町に進出した企業の第1号です。浜通りにある一企業として、今後も「地域との共生」を目指し、復興に向けた支援を継続して参りたいと考えております。
これからも皆さまとともに活気ある街づくりを目指して尽力して参りますので、よろしくお願いします。