エネルギー・環境・リサイクル
県内発生製紙会社石炭灰の有効活用
事業計画
福島エコクリートでは、石炭火力発電所から発生する石炭灰を主原材料にリサイクル資材(再生砕石)の製造を行っています。一方、福島県内には製紙会社(工場)が数社あり、製紙会社でも事業用電力を確保する目的から自家発電を行っており、同様に石炭灰が発生しています。当社では、電力会社の石炭灰と同様に、製紙会社から発生する石炭灰が有効活用可能かの検討を行っています。一般に製紙会社から発生する石炭灰は、石炭単焼のものと、バイオマス等との混焼のものとがあるほか、発生量も電力会社と比べると多くありません。このため、電力会社から発生する石炭灰の助材(増量材)としての活用可能性を検討します。
実施期間
2018-2020
実用化開発場所
南相馬市
連携自治体
-
現状・背景
電力会社から発生する石炭灰の有効利用に関しては、電力会社、建設会社が長年有効利用の検討を行っているが、製紙会社はじめとする一般事業用発電施設から発生する石炭灰の多くはセメント原料利用に限られています。また、電力会社においては近年設置が増加しているメガソーラ発電利用により、出力制限をされる発電所も少なくなく、石炭灰の発生量も減少するとの予測もあります。
研究(実用化)開発の目標
福島エコクリートはH30年3月から事業を開始し、H31年1月末時点で再生砕石(ORクリート)の製造量は5万tを超え、4万t以上を県内工事に出荷しています。事業の年間の売上は約7億円を見込んでおり、初年度は6.5億円程度となる見込みです。また、H31年2月時点での従業員は30名であり、内22名が地元雇用者となっています。更に3月に2名、4月新卒者(小高産業技術高校)の雇用を決定しています。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
電力会社発電所から発生する石炭灰と比較して製紙会社から発生する石炭灰に関しては、発生量が多くないこと、石炭単焼のものとバイオマス混焼のものとがある、等から成分組成および重金属含有量等の情報があまり知られていません。このため、製紙会社から発生する石炭灰を有効利用するためには、石炭灰の基本物性等の把握が重要なポイントとなります。以下に本技術開発のポイントを示します。
①製紙会社発生石炭灰の基礎物性の調査
②電力会社発生石炭灰との併用検討
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
現在、福島エコクリートでは電力会社発生石炭灰を主原料としているが、製紙会社発生石炭灰も利用可能となれば、原料調達の自由度が広がり事業の安定化が図れます。また、当社と同じ行政区内にも製紙会社が所在しており、同社も石炭灰リサイクルの要望が高いことから地元企業との連携強化が図れます。更にバイオマス混焼灰の有効利用が可能となれば、県内へのバイオマス発電企業誘致に貢献できると思います。
これまでに得られた成果
技術開発初年度の本年度は、製紙会社から石炭灰およびバイオ混焼灰を入手し、基本物性の把握、具体的には電力会社発生の石炭灰の基礎物性の範囲との比較を行いました。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
福島エコクリートは「イノベーション・コースト構想」のひとつである「石炭灰混合材料の事業化」を実現するものであり、環境安全性を確保したリサイクル資材を製造し、浜通りの復興工事に供給することを目的に設立された会社です。このため、国、自治体等および民間の工事での積極的な採用を期待します。