エネルギー・環境・リサイクル
炭素繊維リサイクル技術の実証開発
事業計画
炭素繊維リサイクル技術の実証開発
炭素繊維(以下、CF)は合成樹脂などと組み合わせた複合材料(炭素繊維強化プラスチック:CFRP)として用いられ、航空宇宙、自動車、風力発電、土木建築、スポーツ・レジャーなど、幅広い分野で使用されています。
その優れた特性から市場が急拡大(年率15%)しており、それに伴い廃棄物が大幅に増加しているが、環境規制、エネルギー節減から、CFリサイクルが求められています。
本開発は、上記背景から、CFリサイクル技術の実証開発を目指すものです。
実施期間
2016-2018
実用化開発場所
いわき市
連携自治体
-
現状・背景
これまでにCFRPからのCF回収技術(樹脂除去手法)が複数提案されていますが、実用には至っていません。
リサイクル実用化のためには、回収CF物性、CF回収コストが重要ですが、それらに課題があると考えられます。本開発は、それら課題を解決したCFリサイクル技術の実証を目指すものです。
研究(実用化)開発の目標
次世代材料の基盤材料とされているCFのリサイクルを浜通り地域で事業化します。
本技術の浜通り地域における事業化を達成した場合、新工場設立に伴う設備投資、CFRP廃棄物の収集運搬・CFリサイクルプラントの運転管理という新規雇用創出、関連売上、等の波及効果がある。売上7億円、雇用者数20人を想定しています。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
CFリサイクルを達成するためには、CFRP廃棄物からCFを回収することが必須ですが、CFRPは高耐久性・高安定性であるため、一般的な物理的あるいは化学的な処理を適用することが難しく、CFRP廃棄物からのCFリサイクルにおいては、樹脂の除去とCFの分離技術の開発がポイントになります。本開発におけるCFリサイクル技術とは、CFRP廃棄物からCFを回収する技術及び回収CFを評価する技術です。
CFリサイクルの実用化においては、回収CF物性及びCF回収コストが重要であり、その両立が課題です。本開発は、一連の開発をステップを踏んで行い、実用的なCFリサイクル技術を開発し、実証するものです。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
本開発により、CFリサイクルを早期に福島県浜通り地域で事業化する礎ができます。CFリサイクルの事業化は、福島イノベーション・コースト構想の一つであるスマートエコパーク構想の一翼を担い、福島県浜通り地域の産業復興に貢献することができます。
さらには、目標で述べた直接効果に加えて、回収CFを活用した福島県浜通り地域での新たな産業創出につながることが期待できます。CFは、次世代の基盤材料とされており、回収CFを活用した新たな産業創出は極めて大きな波及効果になります。
これまでに得られた成果
昨年度(平成28年度)、CF回収実験系及び回収CFの評価技術を構築し、代表的な4種のCF回収技術を評価することにより、各種CF回収技術の優劣と適用限界を明確化しました。
今年度はこの成果を活用し、更に当該技術の検証を進めた上で実証設備の設計を行いました。具体的には、サンプル試作と評価を繰り返しながら、CF回収技術の詳細検討を行い、プロセス検討及び実証設備設計につなげました。
これらの検討においては、原料であるCF廃棄物の状況及び回収CF用途の状況を調査し、実用的なCFリサイクル技術となるように進めました。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
CFリサイクルという新たなリサイクルを先導的に早期に実用化へつなげたいです。
CFリサイクルの実用化により、回収CFを活用した福島県浜通り地域での新たな産業創出、リサイクル産業集積などの広範囲な展開を目指します。
回収CFは安価であるという特長を活用し従来適用できなかった製品に応用できます。開発成果を通じ、新たな産業基盤を構築し、浜通りの復興の加速化に貢献したいと考えています。