廃炉
水に強い高感度シンチレーションカウンターの開発~今まで不可能だった低エネルギーベータ線核種の連続計測装置~
事業計画
低エネルギーベータ線の連続計測装置の開発
廃炉を確実に進めていく上で、低エネルギーベータ線核種濃度の計測が必須であり、簡便な計測方法が求められている。本開発では低エネルギーベータ線を連続で計測できるシンチレーションカウンターの開発と、其れを用いたオンライン全量計測システムの開発を行う。
実施期間
2020-2022
実用化開発場所
南相馬市
連携自治体
-
現状・背景
福島第一原子力発電所には、大量の処理水が貯蔵されており、今もなお増加しつつあります。貯蔵タンクの建設が進められていますが、もはや設置場所は限界です。そのため、貯蔵タンク内の処理水の最終処分が検討されており、この措置を行うためには、簡便で迅速に計測できる計測法が必要です。
研究(実用化)開発の目標
市販の液体シンチレーション検出器を用いて放射性トリチウムを計測できるのは1回当たり20mlです。加えて、計測に用いたシンチレータ溶液は廃液となるため、結果的に汚染水の量を増大させるため、実用的ではありません。これを改善するために、本開発では、水中で溶けず動作する固体シンチレータを開発し、汚染水の中で直接接触させて、その発光を取り出します。発光の検出は最新の半導体技術で生まれたマルチピクセル検出器を用いて小型化を図ります。固体シンチレータについては、量産化を見据え、プラスチックシンチレータの活用を並行して行います。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
本補助事業の課題は、核種の放射能濃度を連続で、かつ全量を計測することが出来る低エネルギーベータ線連続計測装置の実用化です。具体的には、福島第一原子力発電所で処理が難しい核種を含む汚染水処理の際の安全と安心を確保するための連続計測装置の開発です。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
本開発は、福島県内の技術力を有する中小企業集団である新生福島先端技術振興機構が中心になり、県外の高度なシーズを導入し、その技術革新を共同で進めることにより、福島県内の中小企業の技術を向上させ、結果として福島県の先端技術を育成する事にも寄与するプロジェクトです。ここで養われた高度な技術は、浜通り地域での産業復興にも大いに貢献するものと期待しています
これまでに得られた成果
低エネルギーベータ線を計測するための放射能連続計測装置、計測槽、試料水を判定までの間一時保管する貯留槽から構成される装置を開発しています。30秒で300ℓを連続で計測し、5回の移動平均法で濃度を算出し、検出下限値をCs濃度については2Bq/kg、トリチウムについては1000Bq/kgとする。濃度判定はそれぞれに付き30秒ごとの連続計測で行うことができます。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
現在、計測が難しく、廃炉工程に大きく影響を与えている処理水について、連続計測できる技術を県内の中小企業から提供出来ることは大きな意味があると考えております。開発したシンチレータは今現状のシンチレータと比較して効率が大幅に向上するので、南相馬工場で開発された地元製の検出器に置換されると考えております。
事業者の連絡先
一般社団法人新生福島先端技術振興機構
福島県安達郡大玉村大山字東 78
TEL : 0243-24-1533(担当:齋藤雄一郎)
MAIL : saitoh@sentangijyutu.org