医療関連
新ゲノム改変技術による疾患モデル細胞・動物の実用化開発
事業計画
ゲノム編集技術は近年見いだされた新しい遺伝子組換え法で、従来よりも容易にかつ自在に個体レベルで遺伝子を操作できるようになりました。本事業では、創薬のための高効率疾患モデル細胞・動物作成技術を有する株式会社セツロテックと浜通り地区の薬学教育・研究拠点であるいわき明星大学が共同で、新ゲノム改変技術による疾患モデル細胞・動物の実用化を目指した開発を行います。
実施期間
2018-2020
実用化開発場所
いわき市
連携自治体
-
現状・背景
製薬会社で新薬を開発する際には、特定の疾患の症状を呈する疾患モデル動物を活用することにより新薬候補の検索が容易になります。しかしながら、疾患モデル動物は品数も少なく、値段も高価でした。そこで、ゲノム編集法による新技術を活用し、新規の疾患モデル動物もしくは培養細胞を開発します。
研究(実用化)開発の目標
本事業終了後の2022年1月期、本事業により開発する疾患モデル培養細胞・動物の売上高は、3600万円を目標とします。また同年度の新規雇用は1名を予定しています。10年後の2031年1月期は、売上高70億円、雇用数140名を目指します。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
疾患モデル動物の開発において、製薬会社には次のようなニーズがあります。
■ある疾患において、原因遺伝子に複数のSNPsがみられるとき、網羅的に既知のヒトSNPsと同様の変異をマウスホモログ遺伝子に導入し、ヒト疾患との相同性を評価したいです。
■ある疾患に特異的なSNPsを抽出し、網羅的にヒトSNPsを導入したマウスの系統を作出し、ヒト疾患と相同な疾患モデルマウスを得たいです。
これらのニーズに対し、バイオインフォマティクスにより未知の疾患候補遺伝子や疾患候補SNPsを抽出し、モデル動物を作って解析をすることで、新たな疾患ターゲットを見つけることができ、治療の可能性を検討できるようになります。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
疾患モデル動物の生産工場を浜通り地域に設立することになれば、地域内の専門商社や施設メンテナンス会社などの周辺産業にも効果があるものと見込まれます。また、新規の人材採用は、いわき明星大学からの採用のみならず、地域外からの流入を促して採用をしていくことになります。
これまでに得られた成果
2018年12月に交付決定を受け、現在本格的な開発に着手するための機器購入や施設の調整など準備を進めています。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
福島県浜通り地域は、東日本大震災後は地域全体が急激に高齢化しており、疾患に罹患するリスクは相対的に高まっています。これらの疾患は、遺伝要因と環境要因が相互に起因すると考えられます。本事業計画では、主に遺伝要因に着目し、疾患に対する新たな治療法を開発するための開発戦略の軸となりえる疾患モデル動物並びに疾患候補遺伝子等の抽出法を開発しています。本事業計画が実現することで、数多くの疾患モデルマウス・細胞の製造・解析拠点とし、地域経済の復興に貢献したいです。