医療・創薬用SPECT装置を革新する超高解像度センサヘッドの実用化開発

SPECT装置は、体内に注入した放射性核種から放出されるガンマ線をセンサヘッドで撮像することで、がんの早期発見に有効で、近年、創薬・前臨床分野でも活用されています。本事業では、コリメータの微細穴加工技術開発およびシンチレータ結晶性能向上・低コスト化を図り、初期段階の病理の早期発見を可能とする超高解像度センサヘッドの開発を行います。

■板厚2mmの超難加工タングステンプレートに穴径0.4mm程度、開口角30°の穴あけ加工技術を開発します。
■CZ法により２インチ径Mo添加Ce:GAGGの育成技術を開発します。
■高価なルツボが不要な結晶製造装置を開発し、2インチ程度のシンチレータ結晶体を育成します。
■売上に関しては、2024年で、82億8000万円、新規雇用者数82人を見込みます。

浜通り地域への経済波及効果（見込み）

本事業による実用化開発完了後、3社共同で相馬に工場を建設することで、技術の集約、製造の効率化を行い、センサヘッド用のコリメータ製造、結晶製造、結晶作製装置製造、シンチレータアレイの製造等、一貫した製造体制を構築し、国内外の医療機器メーカーへの販売を進めていきます。このセンサヘッドの製造拠点が出来上がれば、医療装置として組み上げるまでの各種周辺産業が生み出されると考えられ、相馬市を含む浜通り地域に先端核医療機器の一大拠点が構築されるという波及効果も期待できます。

これまでに得られた成果

コリメータ開発に関しては、穴径1.5㎜のSUS系難削材、次にタングステン合金、最後にタングステン材への加工試作を行ないました。目標達成である1.5㎜穴開け加工はクリアしたが純タングステンはバリ返りが発生する部品も有り、現在も引き続き試作加工中です。シンチレータ結晶開発に関しては、結晶育成用の装置の導入を行い、Mo共添加Ce:GAGGの育成検討、およびルツボフリーのCe:GAGG育成技術の検討を開始した。ルツボフリー化開発に関しては、Ce:GAGG溶融体を得ることに成功しました。

開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ

我々は、福島イノベーション・コースト構想の重点分野の一つである「住民の健康確保に繋がる医療機器」の開発を3社の技術力を合わせていくことで福島県産の超高解像度センサヘッドを実用化し、相馬市に核医療機器の一大生産拠点を形成します。そして、福島県の健康増進、安心安全の提供に貢献します。
また、商流・雇用の面でも国内外の各社とすでに連携研究を行っており、目標を達成すれば、相当数の受注、浜通り地域で再雇用を見込めると試算しており、浜通り地域の地域活性化についても貢献していきます。