医療関連
極初期リンパ節がん、乳がん診断を可能とするフレキシブルPET装置の開発
事業計画
早期がん診断が可能な近接撮像型次世代フレキシブル小型PET装置
本事業では、自己放射線を持たない世界最高性能新規シンチレータとSi光半導体検出器を用いた高分解能を有する、小型・薄型のフレキシブルPET装置で、古河シンチテック社がいわき市で製造販売を行うPEMGRAPHから得られた臨床上の知見をもとに、次世代の革新的医療機器の実用化を目指します。
実施期間
2019-2021
実用化開発場所
いわき市
連携自治体
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現状・背景
PETは悪性腫瘍の機能診断ができ、その有効性から近年急に普及が進んでおり、7.5%の成長率とともに2027年時点で6,500億円の市場規模が予測されます。当社で販売中の乳房用PETの解像度向上で、早期がんの発見が可能になり、患者のQOLの飛躍的向上が見込まれます。
研究(実用化)開発の目標
新規シンチレータを使用し、軽量・薄型のSi半導体受光素子アレーを組み合わせた、1mm分解を有し、近接撮影が可能な超高分解能フレキシブルPET装置で、撮像時間5分以下、時間分解能1.5ナノ秒程度、装置価格5,000万円以下の装置を開発します。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
現在Pr:LuAG※を使用した乳房用PETを製造販売しているが、より特性の良いCe:GAGGとSi半導体を使用して、より高性能のPET装置を作製します。現状の乳房用PETの検出器は、光電子増倍管を使用しているため、検出器が大きくなっています。Si半導体を使用することで、小型の検出器が可能となると同時に乳房以外への適用が可能となります。円形型検出器と比べて近接撮影が可能なため、感度が向上して短い検査時間でより小さながんの早期発見が可能となります。PET装置は機能診断装置のため、形態診断装置のX線マンモグラフィーでの発見が難しい高濃度乳腺でも容易にがんが発見できます。
※Pr:(プラセオジム、原子番号59の元素)
※LuAG:Lu3Al5O12 ルテチウム・アルミニウム・ガーネット。シンチレータ結晶で放射線が当たると可視光で光る結晶。光の量で放射線(X線、ガンマ線等)の強さが測定できる。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
2027年時点で145台・101億円の売上を見込み、設備投資としては結晶製造装置、加工設備、検査設備、工場建屋を含め、25億円を投資して、年間250台までのPET装置製造に対応します。福島県浜通り地域での設備増設を計画しており、間接雇用数を含む新規創出雇用者数は2027年時点で累計51人を計画しています。
これまでに得られた成果
古河シンチテックは、東北大NICHeの指導で、1.5×1.5×15mmのGAGGで、30×30本組アレイを作製しました。MITで試作したデータ収集回路を、放射線医学総合研究所で性能評価したところ、問題ないことが判明しましたので、アレイを評価し特性に問題ないことを確認しました。日本医科大学では、現状の装置を使用して臨床試験を開始しました。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
浜通りでは、原発事故に伴う風評被害もあり、がんの罹患を心配する声があります。早期治療により、生存率が高くなることから、早期発見が重要になります。本装置使用により、短時間の検査で早期がんの発見が可能になりますので、完治率の向上と共に治療費の削減が期待できます。
事業者の連絡先
古河シンチテック(株)
福島県いわき市好間町上好間字小館20
TEL : 050-3778-5962(担当:薄善行)
MAIL : usuki@mirai-imaging.com