ロボット・ドローン
量産を見据えた高信頼性マルチコプター実用化開発
事業計画
現状のマルチコプターは海外製の部品等を使用していることが多く、実用化にはシステム全体の製品寿命や各部品性能の信頼性など製品保証が課題です。これを踏まえ、部品の消耗状態や故障を把握し自己診断機能を有する、量産を見据えた高信頼性マルチコプターの実用化開発を目指します。
実施期間
2017-2018
実用化開発場所
南相馬市
連携自治体
-
現状・背景
研究開発における機体の多くは、海外製の部品・製品を使用していることが多く、製品寿命や性能の信頼性についてはユーザーの経験値にて判断・交換として運用されていることが多いです。構成部品の部分的な故障による異常検知技術などは部品・システムともに開発中であり信頼性が高いとはいえないのが現状です。
研究(実用化)開発の目標
本事業で実用化を目指す高信頼性マルチコプターは機体のプラットフォームとして多くの事業分野への展開を考えており、将来的には従来から付き合いのある測量・測定機器メーカー、空撮サービス業者などドローンを用いたシステムを開発する企業への販売を想定し2025年には10億円規模の事業とすることを目標としています。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
現在実用化にむけた研究開発の進むマルチコプターの多くは、国内部品メーカーでの製品が少ないことに加え、海外製品が比較的安価であることから海外製のアクチュエータを用いた機体、もしくは海外製の機体そのものを利用している場合が多いです。
しかしそれらの部品はホビーユースが多く、部品の寿命・性能保証についてはユーザーによる運用管理によって担保される部分が多く、人為的な要因である「メンテナンス不足」や「異常に気づかない」などの理由による墜落事故は常に起こりうる状況であり、産業用途としては更なる安全性改善が必要です。またマルチコプターの操縦においては今後更なる自動化が想定されており幅広い新規ユーザーによる運用が想定される中、経験の浅いユーザーによるメンテナンス不足などの人的要因は増加すると想定されます。
そこで本事業で当社が目指す「高信頼性マルチコプター」は従来の機体に足りなかった各部品の性能劣化や消耗状況などの異常を機体側で判定し、ユーザーに通知するシステムを開発・搭載することで、ユーザースキルに依存しない機体運用・整備を可能とすることを目的とします。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
当社では本事業により開発した高信頼性マルチコプターについて、事業終了後製品市場性をみつつ生産台数を決定し、飯舘村・南相馬市の自社工場にて生産ラインを構築し量産製造を開始する計画です。量産製造の事業化に伴い福島県浜通り地区の雇用創出、経済の活性化に大きく寄与できると考えています。
これまでに得られた成果
平成30年度では開発した機能モデルの飛行試験を行い、防水性、可搬性の向上に向けた機体部品の改造などを行いました。
さらに自己診断機能開発として各デバイスの長時間駆動試験を実施しデータの取得を行っています。今後はこれらのデータを基に各デバイスにおける寿命判断となる閾値を定め、離陸の可否判断を行うシステムを機体に実装する予定です。また実用化に向け開発システムの更なる小型化と販路拡大を目的とした搭載ユニット開発も行い、空撮用モデルを作成することが出来ました。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
当社は福島県飯舘村、南相馬市にそれぞれ自社工場を有しており、現在南相馬工場を拠点として協力企業と連携し、様々なロボット開発を行っています。地元企業としてイノベーション・コースト構想にも強い関心を持っており、開発ロボットの生産ラインを南相馬工場に構築・事業化していくことで、被災地の産業創出や地域雇用の創出をおこない、浜通り地域を中心とした近隣地域の復興に寄与することを目指しています。
しかし、実際のロボット開発における「特殊部品の調達」や「新たなデバイスの開発」においては専門企業への発注になることが多く、まだまだ近隣企業との連携が少ないのが現状です。
当社では近隣地域復興には地元企業との連携を強化することが重要と考えており、たとえ異業種分野であっても「浜通り地域における新たな産業創出」という大きな目標に向かって連携できる地元企業を模索しています。