ロボット・ドローン
マルチGNSSアンテナによる小型UAV搭載型レーザ三次元計測システムの高精度化・製品化
事業計画
UAVレーザシステムに従来必須であったIMU/GNSSセンサの機能をGNSSのみの特殊な測位によって代替することで1/10のコストで生産可能とします。現状課題のレーザ測距精度を向上し、研究レベルから実用における使用面等を昇華し製品化を目指します。
実施期間
2018-2019
実用化開発場所
南相馬市
連携自治体
-
現状・背景
災害地などの不整地や写真では地面を写すことができない山林での地面計測は難しいです。一方で、レーザUAV測量はマーカーを設置する必要がなく山面に対しても地上面と森林表面の両方を計測することができます。UAVレーザ測量の課題は、一台数万円のカメラと比べてレーザシステムは数千万円程度と圧倒的にセンサの価格が高く、その点技術の普及が進んでいません。
研究(実用化)開発の目標
平成31年度はゼネコンや建機メーカー・測量会社を中心に販売し、初年度で初期投資は回収する取り組みで行います。平成32年度より海外の展示会などにも積極的に出店します。
売上については、2021年に日本国内2億円、インド、欧州、オーストラリアの現地調査も実施済みであり、合計高では日本と同等の売上2億円を見込んでいます。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
弊社では写真土木測量の他にレーザを用いたUAVレーザ測量サービスを世界最高クラスとなる年間400件以上行う中で、レーザシステムとUAV自体に対する課題点や計測のノウハウなどの知見を蓄積してきました。
大学との共同研究によって先端新技術である廉価なGNSSアンテナを複数による位置姿勢推定技術を用いることでレーザ計測システムを製品化し、競合に対する大幅な価格ダウンを図ります。
本技術は地上のGNSS基準局とUAV上の複数GNSSアンテナを幾何的に位置の拘束をして配置することによってアンテナ間のRTK測位を行います。これにより位置測位精度を向上させます。また、幾何拘束条件のある複数アンテナの絶対位置からアンテナの成す平面よりシステムの姿勢を推定することが可能となります。従来UAVレーザシステムに必須であった姿勢推定センサであるIMUセンサの機能を、本来位置推定のみを行うGNSSセンサのみで代替が可能となったことにより、限りあるUAVの積載容量に余裕をつくることが見込まれます。積載容量の余裕によって他の計測センサや荷物等を複合するなど応用可能性がもたらされます。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
福島県の試験研究センターとして2020年までには人材も駐在させ、毎年事業規模の拡大とともに2名から5名の雇用を検討しています。2022年までには試験研究センターとして20名規模の研究開発の体制を計画しています。
機体製造・量産の契約を株式会社菊池製作所と締結中であるため、株式会社菊池製作所南相馬工場においても新規雇用は見込まれます。
これまでに得られた成果
特注仕様のレーザが50m距離で2cm精度の製品性能の向上、電子回路は最低限のハンダ付け5箇所以内とする製品性能の向上、ハードウェアは収納時0.80×0.60×0.40㎥に収まるサイズに設計し、使用面では計測作業者が15分以内にセッティング可能とする汎用性の向上、およびハイブリッドドローン搭載時の計測結果が電動と同等の精度を得られる長距離飛行可能な発動機付きドローンへの搭載です。
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
この実用化開発の成功、事業化により、福島県内に雇用を生み出し、産業復興に貢献するとともに、浜通り地域から世界展開して行き「ロボット開発先進地域」を世界へ発信することによって地域の復興に貢献します。