ロボット・ドローン
超小型・半自律・耐放射線性の水中ロボットシステムの開発
事業計画
超小型・半自律・耐放射線性の水中ロボットシステムの開発
福島第一原子力発電所内のベネトレーション(格納容器貫通孔)から格納容器(PCV)内に侵入し、格納容器(PCV)内部調査やデブリサンプリングを補助可能な、超小型半自律の耐放射線性の水中ロボットシステムを開発します。
実施期間
2017
実用化開発場所
南相馬市、いわき市、楢葉町
連携自治体
-
現状・背景
福島第一原子力発電所の廃炉作業に伴い、最大の課題は、高放射線環境下である格納容器(PCV)内部の現状把握です。
原子炉建屋内は、水棺されており陸上ロボットでは侵入不可能な為、高耐放射線性の水中ロボットによる調査・作業が必要となります。
尚、ベネトレーション(格納容器貫通孔)が小径の為、小型で軽量な筐体とし、操作性向上の為の俯瞰カメラで半自律制御機能を有する事が現場で実用的に使用可能と考えます。
研究(実用化)開発の目標
廃炉作業への投入を国際廃炉研究開発機構(IRID)や東京電力へ提案し採用されることを目標とします。
また、災害対応ロボットとしても検討の余地がある。災害対応ロボットの市場規模は2010年度で1,000億円未満であるが、2020年度には1兆円規模にまで増加する事が期待されており、福島県企業産の水中ロボットシステムとして、警察消防、国土交通省地方整備局、海上保安庁などでの装備も期待でき、最大で年間8千万円規模の売上を期待しています。
研究(実用化)開発のポイント・先進性
本開発における最大の課題、また本システムの最大の特徴となる点は、電子機器類の半導体を水中ロボット筐体から排除し、高耐放射線性(10,000Sv)の機能を実装する部分となります。
電子機器類は、格納容器(PCV)外へ配置する為、姿勢制御等は、俯瞰カメラを用い実装します。制御システムは、水中ロボット後方に配置した耐放射線性俯瞰カメラ(10,000Sv)を用い、画像処理による半自律制御を可能とします。
ケーブル長を30mとして格納容器(PCV)内のペデスタル(原子炉本体を支える基礎)裏側にも到達可能とします。
操作は、低線量で比較的安全な建屋外からのコントロールを可能とします。線量率計、温度計、水サンプラ(捕集器)、デブリ破砕装置等のオプションツールは、必要に応じて付加可能な構造とします。
小型の水中ロボットは、世界各地で開発されているが、高耐放射線性(10,000Sv)の機能を有したシステムは現時点では存在しないと考えます。
浜通り地域への経済波及効果(見込み)
本事業で関わる企業・団体の多くが福島県浜通り地域の企業・団体であり、ケーブル等の細かな部品を除き、多くの部品や加工、ソフトウェアを福島県浜通りの企業で設計製作を検討しており、福島県浜通り地域の受注に寄与できます。
また、本システムが最大で年間8千万円規模の売上を実現できれば、新たなビジネスモデルを確立でき、10人程度のベンチャー企業を設立可能と考えられます。
これまでに得られた成果
以下の技術を保持した水中ロボットシステムを開発する事ができた。(更なる改良の余地があります)
【超小型】本体は、必要最小限の部品で構成することにより、福島第一原子力発電所内のベネトレーション(格納容器貫通孔)を通過可能なサイズとなりました。
【半自律】本体操作が大変難しい水中で、開発した半自律制御により、操作が容易になりオペレータの負担が軽減されました。
【耐放射線性】本システムは、高耐放射線(10,000Sv)環境下でも、正常動作可能です。
(電気・電子部品単位での確認結果)
開発者からの浜通り復興に向けたメッセージ
イノベーション・コースト構想により、南相馬市に平成30年より順次開所する福島ロボットテストフィールドは、世界各地よりロボットの技術者が集まり、世界のロボット産業の中心となりえる場所だと考えています。
そんな場所にある地元企業として、大きなチャンスと捉え、ロボット産業へ積極的に参加して行きたいと考えています。